「ヤッターマン」

knockeye2009-04-18

先日も書いたけれど、私はこれまで小林信彦が勧めるものをほぼ無条件に試してきたが、今日ほどそうしてきてよかったと思ったことはない。
スラムドッグ$ミリオネア」の初日を尻目に「ヤッターマン」を見てきた。もし小林信彦が誉めなければまず観にいかなかったはずだ。
世代的にテレビで「ヤッターマン」を見ていない私だけれど、しかし、テレビっ子の端くれとして、ここにテレビアニメの文脈が息づいているのがはっきりとわかる。

ドロンジョ役の深田恭子木梨憲武の「未来創造堂」にゲストに来たとき、アニメのイメージを損なわないように自分から衣裳に注文をつけたと語っていた。
多分出演者の中で一番年長であるだろう生瀬勝久でさえも、原作アニメに対して敬意をはらうのは当然と思っているはずである。
今更で申し訳ないけれど、アニメは間違いなく私たちの文化なのだ。
ジャパニメーションとか海外でもてはやされているからという理由で誇りに思うまでもなく、アニメはほんとに面白かったのである。子どものときあんなに夢中になったのに、つい、忘れてしまっていた。

こないだ監督の三池崇史がテレビにでているのをチラッと見た。ちゃんと見ていないので前後関係が不明だが、
「アニメを日本人の手にとりもどす」
と言っていたのが印象に残った。

ハリウッドで「マッハGO!GO!GO!」とか「ドラゴンボール」とかが無残な姿に実写化されているけれど、つまるところ、やつらは全然わかっちゃないのである。
三池崇史の演出はほぼ完璧だ。平気で物理的ルールを踏みにじるスピード感。面白さのためだけに供せられる絵のリアリティー。大人が眉をひそめる行儀の悪さ。
アニメを実写化したいなら三池崇史に頼め。何度やってもニワトリやライオンにダンスさせるしか能がない連中に日本アニメの面白さを理解できるはずがなかったのである。