妙心寺展

knockeye2009-05-06

今回の帰省にはもうひとつ目的らしきものがあって、それは京都国立博物館で開かれている
妙心寺展」
これも実は、東京国立博物館で開催されていたのだが、
「お寺の展覧会?」
というわけでパスしていたのだ。
あとで気がついてみれば、長谷川等伯などの大作が多数展示されていたらしい。最近、水墨画づいている私なので、帰省するついでに脚を延ばしてもいいのではないかと思っていた。
新しい京都駅ができたのは私がこの地を去ったあとなのだけれど、しかしながら、一歩降り立つとさすがに「勝手知ったる」という感がある。
京都国立博物館こちら」と書いた立て札をもって職員らしき人がバス停に誘導していたが、京都駅から国立博物館くらいなら歩いてしまうわけなのだ。
GWの最終日ということもあってか、京都はなんとなく閑散としていた。お土産に炙り餅を買った店のおばさんが
「いつもの日曜日より少ないくらい」と言っていた。
国立博物館も「ただいま待ち時間  分」とかいう看板が用意はされていたが、今日に関しては必要なかった。それでも展示室の中はなかなかの混雑で、私が帰るころには「ただいま混雑しています」というプラカードを掲げた人が入口に立っていた。
圧巻だったのは狩野山雪
「老梅図襖」

うねる幹、ぴんと伸びた若枝、稲妻のように走る花咲く枝。あくまで写実的な具象でありながら、みなぎる生命の表現そのもののように見える力強さ。現在はアメリカに流出してメトロポリタン美術館の所蔵になっているそうだ。そのためにむしろ保存状態がいいのなら喜ぶべきなのだろう。狩野派のなかでは個人的には山雪と芳崖が好き。狩野山雪は他にも「寿老・梅山鵲・竹鳩図」という三幅の掛け軸もあってこれもよかった。
山雪の父、山楽の「松図」も、保存状態こそよくなかったが、迫力があった。ポスターに使われている「竜虎図屏風」よりむしろこちらの方がよいと思ったほど。
この展覧会も展示替えがあったそうで、曽我蕭白、海北友松など見逃してしまった。
森狙仙の
福寿草に双鶏図」
という鶏の絵があった。狙仙といえば猿の絵が有名で、鶏といえばむしろ伊藤若冲なのだが、森狙仙の細密な鶏もなかなかよいではないかと思った。
他に造形のほうにも面白いものがあって、花園法皇坐像という木像と曲輪堆黒(ぐりついこく)香合がよかった。
博物館の裏にある湛庵という茶室の庭が公開されていたので覗いて見たが、こんな小さな庭でも、鎌倉の庭は足許にも及ばないという感を強くした。
北鎌倉にある寺の庭に芝生が敷かれているのを見て愕然としてから、鎌倉の庭は信用していない。あれを見たときは、正直言って「ゴルフ場の池か」と思ったものだった。