- 作者: トーベ・ヤンソン,Tove Jansson,鈴木徹郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1980/10/13
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 27回
- この商品を含むブログ (41件) を見る
ある朝早く、スナフキンは、ムーミン谷のテントの中で、目がさめました。あたりは、ひっそりしずまりかえっていました。しんみりとした秋のけはいがします。旅に出たいなあ。
ほんとにふいに、どこもここも、しんみりとしてきたのです。あたりのようすは、もう、なにもかも、いままでとは、がらっとかわってしまいました。旅にでようと思いたった人には、いっときいっときが、身のちぢむ思いでした。
スナフキンは、テントのくいをひっこぬきました。まっかな炭火をけしました。じゃまがはいったり、人にうるさくきかれないうちにと、スナフキンは、リュックを肩にひっかつぐまももどかしく、むちゅうで走りだしました。
走りだすと、きゅうにほっとしました。葉のすみずみまで、のびのびとくつろいでいる、ぽつんと一本はなれて立った木のように、ゆったりした気持ちになったのです。テントをひきはらったあとには、テントのあとを教えるように、そこだけ、かれ草が長方形にかたまって、寒々とのこりました。
あとで友だちが目をさましたら、こういうでしょうね。
「あいつ、旅にいっちまったよ。秋になったんだねえ」って。
トーベ・ヤンソンのムーミン全9冊のうち、一冊も読んでいない人は損をしていると思いますねぇ。
フィリフヨンカ、ミムラねえさん、ちびのミイ、ムーミン谷の物語にはいろいろと性格の違う女性が登場するが、トーベ・ヤンソンその人はどの女性に一番近いのだろうか。
ムーミンママは多分トーベ・ヤンソンにとっても母親だろう。
私はなんとなくトーベ・ヤンソンが一番自分を投影しているキャラクターはスナフキンだという気がする。