
- 作者: 村上龍
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 1998/04/01
- メディア: 文庫
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この小説は「五分後の世界」の続編だが、「五分後の世界」が緊密に組み立てられた世界だとすると、こちらはその展開という感じ。
免疫系の話を完全にイメージするのはかなり難しい。
私としては、むしろ、移動中のエピソードが印象的だった。地下に追いやられ退化していく浮浪者たちの泣き声。ファッションで自分の顔をナイフで刻む若者。フリーマーケットを支配する躁病の中国人とか。
「五分後の世界」のときに書き忘れたけど、「非国民」という言葉を小説で使えるのはたぶん村上龍だけだろうと思った。本を読む時には、ないことにしてしまっている言葉がけっこうあるかも。
ポエティックディクションつうのか、小説を読む時には小説用の言葉遣いみたいな意識が、読む側のほうにもいつのまにかできあがってしまって、それが長く長く続いていくと、文語と口語に分かれていくのかなと思った。
それはネットの世界でもおなじことで、観察していると、某掲示板は某掲示板なりに似たような言葉遣いをしている。そして、それがその人の人格になってしまうことがあっても不思議ではないと思う。引きで観てみればばかばかしいことでも、そこにのめりこんでいるとたいそうなことのように思えてしまうのかもしれない。