ジョーカー・ゲーム

ジョーカー・ゲーム

ジョーカー・ゲーム

出版されたころに買おうとしたら、売り切れて手に入れられなかった、柳広司の大ヒット作。
今更何をかいわんやであるが、私は、この「D機関」に集った若者たちに、中村稔の自叙伝『私の昭和史』に描かれた、戦時下の旧一高の寮生たちをダブらせてしまった。
彼らは天皇の真影が掲げられた部屋に隠れて花札を引いていた。
役人が押し付けたに過ぎない天皇制なんかにあっさりだまされて命を落としていく集団心理なんかに、いい意味で選良意識をもっていたかれらが反発を感じるのは当然である。
戦時中を舞台にこういう娯楽作品が書かれるようになったのは成熟というべきでしょうね。