音楽関係の番組

ここのところNHKで音楽関係の番組を立て続けに見た。
井上陽水の4夜連続の特集を2夜。半分見逃したのは、二回目はは4夜連続と知らなかったのと、三回目は総合と教育をかんちがいしたから。
ふたつめは、BBCが作ったビートルズの特集。これは、ビートルズのアルバムがデジタルリマスターされて売り出されるのにあわせて作られた番組だろう。そう考えると完全に販促活動だと思うのだけれど、そのあたりNHKのいつものお堅い感覚はどうなっているのだろう。
三つ目は、佐野元春がインタビュアーの、どこかで見たことのある気がするフォーマットの番組に、松本隆がゲストに出ていた回。
松本隆は作詞の「詞」という漢字を「詩」に代えた人。伊東静雄に心酔していたころの私は、それはどうなんだろうと思っていたものだったが、はっぴいえんどのころの詩も、吉田拓郎に書いたもの、松田聖子に書いたものも、確かに詩で、むしろこうして歌われることが詩にとって自然なのだろうなと思ったりした。
はっぴいえんどはミーティングバンドといわれるほど、演奏の練習などそっちのけで、毎日のように議論ばかり繰り返していたそうだ。
佐野元春が、はっぴいえんどの曲は詩と曲どちらが先だったのかと尋ねると、当時は曲が先ということはありえなかった、それにあれはたぶん日本だけの現象で早めに改めた方がいいと応えていた。
「氷の世界」のころ、井上陽水ボブ・ディランの詩に影響を受けたと語っていたのと思い合わせて、あの時代、たしかに日本語の詩の胎動みたいなものがあったんだなという気がした。当時は近代詩人の詩集が本屋にたくさん並んでいた。
桑田啓祐が「ただの歌詞じゃねぇかこんなもん」という本を出したとき、時代がひとつ変わったと思うのだけれど、サザンオールスターズの活動休止とともに、またひとつ時代が動き始めているのかもしれない。
「ただの歌詞じゃねぇか」とうそぶいてばかりもいられない。そういう感じになってきている気がする。