円高歓迎いたします

テレビのニュースをチラッと見ていて、藤井財務大臣の発言で円高になったと(それ自体がそう短絡的に因果関係を指摘できるかどうかわからないけれど)アンカーマンが批判的な物言いをしていたので、先日それについて少し書いたが、改めていうけれど、円高にシフトする方が正しいとわたしは思う。
少なくとも、テレビにせよ新聞にせよ、公正な報道という立場にたつならば、円高のメリットと円安のメリットの両面を偏らずに明記すべきだ。
わたしが見ている限り、「藤井大臣が何か発言した」→「円高になった」→「困った」というステレオタイプな報道しか見受けない。これでは事実上報道といえるレベルなのかどうか疑わしいと思う。
そもそも円高というが、現状はほとんどすべての通貨に対してドルが下げている、世界的なドル安というのが正しい状況だと思うが、それはひとまずおくとしても、円が高くなって何が悪いのか。
少なくとも、わたしの持ち金はほとんどすべて円である。探せばどこかに海外旅行の残りが20ドルくらいあるかもしれないが。多くの日本人も似たようなものだと思う。
自分の持ち金の購買力が高くなって何の文句があるのか。日本人の食生活はほとんどが輸入にたよっているのだから、円が高くなれば物価が下がる。とってもありがたい。
確かにデメリットの部分もあるだろう。
たとえば、トヨタのクルマをアメリカに売るとき、利ざやが減る。
それで今までの自民党政治は、円高になると輸出産業の保護のために、為替に介入し円を安くしてきた。為替介入といっても使われるのはわたしたちが払った税金である。自民党政府はわたしたちの金を使って、わたしたちのカネの価値を下げてきた。
そうまでして保護してきたトヨタが、去年の年末、寒空に派遣社員を放り出したのである。もう忘れたのだろうか。産業界は、最低賃金1000円にさえ抵抗しているじゃないか。月給に直すと16万くらいだぜ。そんな金も払えないなら、廃業してもらった方がいい。冗談じゃない。
為替介入で輸出産業を保護しても、国民の豊かさにつながらない。保護すべきは生活者なのだ。
それに、繰り返しになるが、80年代と大きく違うのは、アジアの産業がボトムアップして、キャッチアップしてきている。だから、今為替介入して少々円を安くしても、韓国、中国、ベトナム、インドなどの価格に太刀打ちできるわけがない。
だから、為替介入して円安にする意味がない。今めざすべきことは、円高のメリットをいかせる社会にすることだ。
具体的には、輸入にさいしてくだらない規制があるなら撤廃して円高のメリットを国民が実感できるようにすることだろう。
それにしてもつくづく思うのは、テレビとか新聞といういわゆる大マスコミは、ほんとうは自民党とともに消え去るべきだったのかもしれない。頭で何か考えているように見えない。