エッシャー展

横浜そごう美術館にエッシャー展を観にいく。エッシャーは何年か前に渋谷Bunkamuraに来ていたことがあったが、とにかくものすごい行列で断念したいきさつがあり、今回はそのリベンジでもあった。
平面の正則分割や、ペンローズの三角形のような、三次元ではありえないことを二次元に表現した、不思議なだまし絵で視覚に挑戦し続けた画家であるが、晩年は妻に去られ、三人の子供たちにも看取られず、老いた芸術家のための養老院で息を引き取った。
なんとなく画家の晩年というより、天才数学者のエピソードのようだ。
そう思いながら、頭の中でこの2日間が巻き戻された。
ルネ・ラリックのかんざし、サラ・ベルナールの椅子、御舟、若冲北斎
この人たちが美に挑む姿勢には確かに狂気を感じる。また厄介なことに、それがない画家はこちらもホンモノと感じない。絵を見ることは、こわいものみたさで、狂気に触れに来ているということなのかもしれない。
ところで、世田谷美術館から横浜に移動する電車の中で、爆睡睡してしまって、あわてて乗り換えたときに、読みかけの文庫を落としたことさえ気がつかなかったようだ。
最近、体力の衰えがはなはだしい。バイクに乗らなくなったのがよくないと思っている。