「インスタント沼」、柳家小三治

インスタント沼」がDVDになった。
あれはほんとにいい映画だったのでオススメしたい。ぜったいに泣けない。
今週の週刊文春の阿川さんのインタビュイーは、柳家小三治師匠。
実は先日、桂雀三郎春風亭昇太の二人会を聴きにいったとき、12月3日の柳家三三の会に師匠小三治が客演するというポスターがはってあった。
「12月3日って平日だけどどうしよう・・・」
と思いつつ、モスバーガーにいって帰ってきたら、もう売り切れていた。
小三治師匠のチケットの場合、躊躇したらもうだめだということがわかった。
モスバーガーのコーヒーは、しかしまずいね。あれだと、インスタントのほうがマシだろう。ただの苦いお湯になってしまっている。早期に是正されることを望みたい。
いずれにせよ、木曜日の仕事帰りに落語をという選択肢は、いまのところちょっとむずかしかったろう。
わたくし、上が90を切るなかなか大した低血圧で、朝は平気に起きられるのだけれど、そのかわり夕方の時間帯、テレビで言うゴールデンアワーにまともに目があかない。‘ゴールデン・スランバー’と呼んでいる。

で、小三治師匠のインタビューだけど

小三治さんがまだ前座のころ、稽古の途中、ずーっとうつむいて聴いていた師匠小さんが
「おまえの噺は面白くねぇな」
と言ってどこかにいっちゃったことがあるそうだ。
小三治「寄席じゃ前座にしては異常なウケ方をしてた噺ですから、『面白くないってどういうことなんだろう』とか、『お前は肝心なことを忘れてやしませんかッてことかな』とか、いろいろ考えるわけですよ。でも、いちいち訊けない雰囲気を小さんていう人は持っていた。で、これは根本から考え直さなきゃいけないのかなって思った。
阿川「どうなさったんですか。
小三治「どうなさったもこうなさったも、それが今日までずーっと続いてるわけです。『ああだろうか、こうだろうか』と考えてお客さんにぶつけてみて、『いや、こうかな、ああかな』って、結局、答えが見つからずに今日に至る、ということでしょうかね。」

柳家小さんというひとは、どうしてこの人が米朝師匠よりさきに人間国宝なんだろうと、ちょっと不満に思ったりしていたが、なるほど大した師匠だったんだろうと得心した。

小三治「落語はウケようとしてウケるもんじゃないんです。人物が生き生きとして蠢いていれば、面白くできてるから笑っちゃう。それができないのに無理矢理お客さんを笑わしたときの、臍を噛むような後悔の気持ちはほんとにヤなもんですよ。その晩眠れない。」

この部分だよなぁ。
前にも書いたけれど、柳家小三治は、故・桂枝雀がゆいいつ意識していたお江戸の噺家だった。