静嘉堂美術館 筆墨の美 後期

knockeye2009-12-06

氷雨まじりの昨日とうってかわって今日はうららかな小春日和。
世田谷の静嘉堂美術館に「筆墨の美 − 水墨画展」の後期を見に行った。いい天気だから。
きのうのカールじいさんではないけれど、この展覧会の目玉も滝の絵。
鈴木芙蓉の<那智大瀑雨景図>
奇しくも今朝の「日曜美術館」で根津美術館所蔵の那智滝図が紹介されていたが、こちらのは雨景だけあって、横殴りの雨に滝が流されている。これと似た景色を北海道ツーリングで見たことがあるような記憶がある。確かではない。
気に入った絵を列挙していくと、
李日華の<牡丹図巻>。17世紀、明時代の紙本墨画である。比較的新しいし、紙本なので黄ばみが少なく、まだ墨痕がみずみずしい。
劉世儒の<月梅図> 16世紀、明時代の絹本墨画。この人、梅の専門家だそうで、梅の描き方の本まで書いているそうだ。わたくしが今まで見た月に梅の絵でいちばんよかったのは狩野芳崖のもの。あれはもう一度見てみたいものだ。
伝 禅月の<羅漢図> 14世紀 元時代の絹本墨画
実った枇杷の木のしたで羅漢が座禅を組んでいる。見ているだけで心が落ち着いてくるような穏やかな顔をしている。もちろん、羅漢であるから、ファイナルファンタジーに出てくるような美男ではないが、おそらくこの顔には当時の人たちが理想とした心のありようが込められているのだろうと思った。こういう風でありたいという願いみたいなものが感じられた。
牧谿の<羅漢図> 13世紀 南宋時代の絹本墨画
同じ羅漢図でも、こちらは鬼気迫る絵。夕靄のたちこめはじめた断崖で座禅する羅漢の下半身に、口を開けた大蛇が巻き付こうとしている。羅漢は微動だにしない様子。目はあけているのか閉じているのかはっきりしない。盲目にさえ見える。思わず見入ってしまった。
地味な美術館にもかかわらず、今日はなんか人が多いなと思ったら、午後からシンポジウムだったのだそうだ。参加自由らしかったのだけれど、せっかくいい天気なのでやめにして、庭を散策した。紅葉がいいかんじ。今日はDP1しかもっていなかったので、画角が広角に限られてしまって苦労した。