アメリカのイライラ

正月休みが終わって職場にもどると、ふだん自分がいかにストレスを感じているかが分かってがっくりくる。
今日、村上龍がホストをつとめる、テレビ東京の「カンブリア宮殿」という番組に、小沢一郎がゲストに招かれていた。
いちばん印象に残ったのは、普天間をめぐる日米交渉にふれたくだり。
村上「普天間基地をめぐる問題で、移設先がどうかどうかってみんな言ってますよね。僕はこれに関してはどうしてメディアはもっと前の疑問を議論しないのか。っていうのは、そもそも冷戦が終わった今でも沖縄にアメリカ軍の基地は必要なのかと。
で、日本の国益上ですよ、日本の国益上、必要だったら、どんな手を使っても沖縄の人に納得してもらわなきゃならないから説得すると、で、もし必要ではなかったら、アメリカ軍のほうに、アメリカ軍がちょっとへそを曲げても、もう必要ありませんから出て行ってくださいとアメリカを説得すると、このふたつしか僕はないような気がするんですけどいかがですか。」
小沢「基本的にそうですね。僕は、これは政府が決めることですけれども、一番の問題点は、日本政府、日本内閣が、アメリカに物を言えないことですね。特に、自民党はずっとそうだったんです。自民党ちゅうか外務省が。何もいえない、アメリカに。そういうことで、私は、アメリカがイライラしているんだと思うんです。
僕も日米交渉に何回か臨みましたけど、ようするに、『日本人は嘘つきだ』ということから始まったんですよ。なんだかんだいいようなこと言ってて全然実行しないと。そういうのものすごく嫌われるんですね。自己主張きちんとして、お互いの議論をぶつけあって、それで、譲り合うことは譲り合って、決めたことは守ろうというのが彼らのやり方ですから。
日本の場合はあんまり言わない、自分のことを。それでいて実行しないからイライライライラしちゃう。だから、今の日米関係を心配する人がいますけれども、僕は今の民主党政権下でもっとざっくばらんに話をして、アメリカの兵隊さんがそんなに前線に必要ないということであるならば、それはそれでもってきちんと言って、それで自分たちは自分たちの国の守りはこうやりますとか、国際貢献をこうしますとか、だから心配要りませんとか、そういうことを言えばいいのに。僕はそう思います。」
村上「だから、結局マスコミは、普天間基地をどこに移設するかということばっかり言ってますけど、そもそも沖縄に米軍が必要なのかという議論が起きるべきだと思うんですよ。」
小沢「とにかく個別の政策論は僕が言う立場じゃないんですけど、しかし、日米関係ということで見ると、今言ったように自己主張はきちっとして、そして、相手の主張も聞き、それで自分の役割は役割として果たすと言う関係にしたいと思いますね。」
小沢一郎が語るアメリカのイライラは、同時に小沢一郎のイライラでもあると思った。‘俺に言いたいことがあったら言え’ということだろう。
この後、西松事件の話になったのだけれど、個人的にはあんなものは事件だと思ってさえいない。むしろ、アレをめぐる報道の態度こそが事件だったと思っている。
去年もいろいろなことがあったが、個人的には、政権交代よりも西松事件をめぐる報道の方が印象が強い。あれほどあからさまな官憲の政治介入を、マスメディアが一切批判もせず、逆に、明らかに東京地検特捜部がリークしているのが丸分かりの情報を、そのままオウム返しに垂れ流し続けてかえりみない。あれにはさすがに愕然とした。
それであらためて考えてみれば、今日本に流通している四大新聞のすべてが、第二次大戦中は軍部のお先棒を担いで戦意を高揚し、国民をミスリードしたわけだった。官僚とマスコミはそのころからずっと一心同体だったのである。
だから普天間についても、マスコミが官僚に都合のいいように世論を導こうとしていることは、むしろ当然なんだろう。