襲撃 中田カウスの1000日戦争

襲撃 中田カウスの1000日戦争

襲撃 中田カウスの1000日戦争

中田カウス・ボタンという漫才師の「ヤングOHOH」時代の人気を憶えているわけだから、私はやはりかなりお年寄りなわけだ。
関西に住んでいると、漫才師や落語家など、芸人さんたちの存在が関東にいるよりずっと身近だ。
テレビ局が安上がりなトーク番組を作りまくるおかげで、芸人さんの素の考え方とか、人となりとかが、友だちなんかよりもむしろ分かっていたりする。
それで、今回の中田カウスをめぐる一連の騒動も、この本を読むまでもなく、だいたいこんなところだろうと予想はついていた。
中田カウス・ボタンという漫才師はふたりながらに、なかなか肝の据わった人物だと私は理解している。
中田カウス・ボタンは、漫才史上はじめて、スーツを着ずにカジュアルな格好で漫才をした漫才師なのである。
今ではむしろ当然だが、70年代最先端のファッションで漫才をした彼らの勇気はたいしたものだった。それからずいぶん時が流れたが、彼らの漫才に対する態度の真摯さは全くぶれていないようにみえる。
事件の詳細については本書に当たってもらえばいいのだけど、しかし、最初に書いたように、子どもじゃあるまいし、分かりそうなもんだと思いますね。
そもそも、戦前からの興行師であり、裏の社会と関わって検挙されたこともある林正之助の娘が、一漫才師の暴力団との関係云々をいうこと自体がちゃんちゃらおかしい。
またそれを記事にするマスコミもかなりなものだ。
この間のバッシングの嵐をくぐりぬけたどころか、渦中の株主総会で漫才を披露した中田カウスの胆力は大したものだと思うけれど、そういうのんきな感想もいってられないというのは、ここでもまた、警察の‘板金捜査’と、そのリーク記事を垂れ流すマスコミという構図が繰り返されているからだ。
警察の違法な取調べ(詳しくは本を読んで)に耐え切れる中田カウスの方がむしろ例外で、多くの人は菅家さんのようになってしまうと思う。
小沢一郎の事情聴取という事態にいたって、民主党は「取調べの可視化法案」の国会への提出を見送ってしまった。検察の思うつぼ。
前に、「300人よってたかって、小泉純一郎ひとりにかなわないのではないか」みたいなことを書いたが、今のところ、それに近い腰抜けぶりではある。
まあ、がんばって。冗談抜きで。