国民的合意?

参院選の敗北を受けて、NHKのニュースに出演していた仙石官房長官が、「小耳に挟んだんですが」と前置きして、
「今日の『視点・論点』で、‘消費税増税の国民的合意ができた’という内容の話をされるらしいですよ」
と、インタビュアーのアナウンサーさえ知らない、放送前の番組の内容を、なぜ知っていたのか、安倍晋三中川昭一従軍慰安婦事件のときをちょっと思い出してしまったが、それはともかく、現政権としては、これだけ大負けしておいて、転んでもただ起きないつもりか、消費税増税の信任は得たということにしたいらしいのである。
それに、マスコミの世論調査などでも、
「消費税増税もやむをえいのではないか」
という、国民の諦めムードを伝えているが、それはあくまでも膨大な赤字を前にして、途方に暮れている姿を伝えるにすぎなくて、国民の側に論理的な裏づけや確信があるわけがない。
今の国民の意識は、‘国民的な合意’などという積極的なものではなく、たとえていえば、放蕩癖の治らない息子の、しつこいせびりに根負けしたみたいな心理にすぎない。
ほんとうにこの放蕩息子を更正させるために、具体的にどのくらいの小遣いが必要なのかについて、大前研一のこのコラムがわかりやすい。
財政再建のために、消費税を上げなきゃ仕方ないんじゃないかと思っている人は、ちょっと目を通してもらいたい。
トロントでのG20で採択された首脳宣言は、日本だけ別メニューにされたのだけれど、もし、日本も他の先進国と同じ基準で、財政再建に取り組んだらどうなるか解説されています。
安易に官僚の言いなりになって増税など認めると、消費税率は何パーセントになるのか、ちょっと考えてみてくださいませ。
そもそもここまで赤字が膨らんだ、要らない道路、要らない空港、要らないダム、いらない天下り法人に湯水のように税金を使い込み、古い産業の利益を守るために、新しい産業の育成を怠ってきた責任は省みず、
「消費税バイにすりゃいいじゃん」
では通らないんです。
こちらの加藤祐子のコラムでは、今度の参院選の結果についての英米のメディアの反応がまとめられている。
日本人は菅首相にイエローカードと では財政再建は?
日本とちがって、メディアごとに意見が分かれているのが健全でうらやましい。
私としては、しかし、リーダーシップの欠如ということをいちばん痛切に感じます。
特に、オバマと較べるとね。