ヘンリー・ムア

たぶん歩いても行けるのかも知れないけど、迷うといやなので日本橋まで地下鉄で、ブリジストン美術館へ。
ヘンリー・ムア展ということになっているけど、ブリジストン美術館の場合、そんな大規模な展覧会ということではない。
いつもというわけではないけど、そういうのだいたい勘でわかる。
それでも、近くに来た時は立ち寄る値打ちはある。
それにそもそも、上村松園展のやっている東京国立美術館でさえ、石橋正二郎の寄付だったりする。
帰りに受付の女の子に、五十代くらいのTシャツに短パンの男が大声で絡んでいた。
「おまえアルバイトか?
よくそれで給料もらってるな?」
云々の定番フレーズが聞こえてきた。というか、それ以外のことは意味不明瞭だったが。
美術館でこういう光景に出くわすのはめずらしい。
ふと奇妙な感覚に襲われた。
このモンスター鑑賞者(?)は、もしかしたら展示作品のひとつで、アートパフォーマンスなのではないか。
というのは、ブリジストン美術館の受付とクレーマーのおっさんという取り合わせが、あまりにもシュールで、実は、しばらく立ち止まって成り行きを‘鑑賞’していたいという気持ちを抑えるのに苦労したほどだ。
それをしなかったのは大人としての常識だが、いまでもちょっと後悔している。