外務官僚が日米外相会談を無視していた

日本の検察は、無罪の日本人を陥れるためには、知恵のかぎりを尽くすのに、‘現行犯’で逮捕した中国人の船長は、無条件に釈放する。
しかも、釈放の前日の、前原誠司とヒラリー・クリントンの会談では、
東シナ海には領土問題はない。国内法で粛々と対応する。」
「(尖閣諸島に)安保条約は明らかに適用される。」
とまで確認していたのに、である。
合衆国は、‘日本は信頼が置けない’と思っただろう。
つい先日書いたばかりのことを、くりかえすのは、裏づけになるニュースが出てきたからだ。
日経WEBの記事から引用すると、

 民主党は27日、沖縄の尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件に関連し法務・外務・国土交通の合同部門会議を開き、政府側から説明を受けた。
会議では法務省公務執行妨害の容疑で逮捕された中国人船長の釈放が決まった前日の23日に那覇地検が外務省側から日中関係について意見聴取していたことを明らかにした。

つまり、あの時書いたように、前原誠司がヒラリー・クリントンと会談し、日米関係を強化しつつ、対中交渉に臨もうとしていた裏庭で、外務官僚が検察に、かってに釈放の指示を出していたということ。
佐藤優の指摘する、‘政治 対 官僚’の図式がここで鮮明になっている。
よく‘日本の官僚は優秀だ’という人がいるが、それを聞くたびに、何を根拠にそういうことを言っているのかと鼻白む。
今回、おそらく外務官僚は、前原誠司を出し抜いたつもりだったろうが、とんでもない大失態だ。
公式発表では
「検察の独自の判断で釈放した」
ということになっている。
であれば、日本の検察は今回の逮捕が誤りであったと認めたことになる。
中国が‘謝罪と倍賞’を求めてくるのは当然だ。
日本がそれに応じないなら、中国国民の保護のために、尖閣海域で「漁業監視船による巡視を常態化」するのもまた筋が通っている。
現行犯で逮捕したものをむざむざ釈放した意味がわからない。どうするつもりなんだろう。
日本の官僚は、自分たちが優秀だと思い込んでいる。それは、日本限定の‘偏差値’という価値観から一歩も外に出ないからだ。
‘偏差値’のなかで生まれて‘偏差値’のなかで育って、‘ああ私は優秀だった’と思いながら死んでいく。
今回の事件は、日本限定の、いわば、‘ガラパゴス・エリート’の限界を如実に示したといえるだろう。
ともかく、日米の外務大臣が決定したことに反抗した外務官僚の責任は追及されるべきだと思う。