上杉隆と立花隆

 いまさら私が紹介するまでもないが、ダイヤモンド゛on Lineの上杉隆のコラムは、新聞やテレビが黙殺している事実を知るためにとても有用な存在になってきている。
 例の大阪地検の証拠捏造事件をめぐる、ちょっとしたどたばた喜劇については、もう、いまさら何かを言う気にもならないが、上杉隆のそのコラムの、それについて書かれているのを読んでいて、立花隆信濃毎日新聞に書いた記事が引用されているのにでくわした。
 内容は漠然とした一般論にすぎないが、その意図が、この期に及んでなお、検察の擁護であることに唖然とした。
 立花隆は、西松事件のときも、文芸春秋誌上などで、一貫して東京地検側に立った発言をしていた。
 それに、今年の二月にこのブログで指摘したことだが、週刊文春の書評欄で、‘東京大学出版会’が出版した『朴正熙の時代 韓国の近代化と経済発展』という、かならずしも一般誌の書評欄にそぐわない本を取り上げて、あろうことか、「民主主義抑圧」をする「官僚主導国家」が韓国の奇跡の経済発展を可能にしたとして、民主党の政治主導を批判したのである。
 立花隆という人は、何だったんだろう?という疑問が頭をもたげる。
 この人は言うまでもなく、田中角栄の金脈を暴いたことで脚光を浴びた人だが、そこに裏がなかったんだろうかという疑問だ。
 おそらくすべての役所の官僚が、何らかの形で御用学者を抱えているはずだから、検察官僚だけがそれを持っていないとはとても思えない。
 西松事件のときでさえ、検察の側に立つことは、そうとう奇妙なことだったと思うが、こんどの‘証拠捏造’という事態に至ってまで、まだ検察を擁護する発言をするとは。なんとも不思議な態度だと思う。