ユニクロの話

 ユニクロが売り上げを減らしているそうなのだけれど、専門的なことはわからないけど、この冬のラインナップに関しては、そりゃ、売れないだろうっ、と素人目に思った。特に、こたつの毛布みたいなフリースは、着ている本田圭佑がかわいそうになるくらい。
 一消費者として、私がこれまで勝手に抱いてきた「ユニクロイズム」って、「極限までシンプルなフォルム」と、「これでもかというほど豊富なカラーバリエーション」だった。
 去年のスキニーのブームだって、むしろ、ありそうでいて、探すとどこにもないシンプルなデザインが肝だと思う。そこに、カラバリの豊富さが加わって、購買欲が刺激される。今年は、その逆で、どこにでもありそうなフォルムなのに、カラバリがなかった。
 そして、素材開発力と価格努力。以前、堺屋太一の中国の報告を紹介したが、あれを、ホリエモンが朝生でユニクロの話に変換してしまっていたのだが、ユニクロの名誉のために書いておくと、あれはユニクロのことではない。すくなくとも、堺屋太一は、ユニクロとは一言も書いていない。私は、ユニクロを安物だと思ったことはない。ユニクロの安さは品質だと思っている。
 今年は、夏頃からすこしユニクロの戦略が揺らいでいるなとは感じていた。
 というのは、せっかくクールマックスのビジネスシャツを売り出していたのに、まったく宣伝していなかったことだ。少なくとも私は、秋頃になって初めて気がついた。猛暑だったんだから、うまくすればヒットになったはずだと思うのに、なんかちぐはぐな感じがした。
 同様に、せっかく開発している新素材を生かしきれていないのは、ネオレザーとコーティッドクロス。私はどちらも気に入っているのだけれど、商品数が少ないし、あってもユニクロにしては、カラーバリエーションが少ない。たとえば、ネオレザーのライダーズジャケットなら、黒、白、オレンジ、ワイン、ピンク、やまぶき、ゴールド、タン、こげ茶、シルバー、ネイビー、サックス、緑、ターコイズ、パープル、くらいは、今までのユニクロならそろえてきたはずだ。ちがう?
 首をかしげちゃう。去年までユニクロに感じた「売る気満々」という感じを取り戻して欲しいなと思う。