自粛ムード自体が、実は、パニック

 最寄りのセブンイレブンが閉店してしまった。
 新聞によると、各地で、休業、廃業、操業短縮、解雇などが、連鎖的に起きているそうだ。
 私の職場も、過酸化水素の国内生産力、70〜80%が休止しているために、危機的な状況に追い込まれている。現在の在庫では、あと一ヶ月から一ヶ月半しか持たない。
 いうまでもなく、これは一例にすぎない。前にも書いたが、一日に3時間も停電するという、大正浪漫みたいな状況で、21世紀の製造現場は成り立たない。
 今、必要なことは、どんな手を使っても、停電を回避できるように、電力の供給を回復させることだ。
 それができないなら、企業は、本社機能を首都圏の外に移動させるべきだし、生産拠点の配置を、大幅に、しかも、速やかに組み替える必要がある。
 この国の無能な政治家や官僚を信じるよりも、自分たちの知恵を信じる方が、企業にとって、ずっと意味のあることではないだろうか。
 もしかしたら、民族の大移動が必要なのかもしれない。
 私個人としては、関西でも、九州でも、北海道でも、(何なら地球の裏側でも)移動してくれと言われればお安いご用だ。
 一ヶ月後にも、計画停電が行われている状況で、もし、日本の企業がそれにおつきあいしているほどバカなら、日本経済は破綻しているだろう。
 これは、一庶民としての実感だが、もう少し突っ込んだ話としては、野口悠紀雄この意見が参考になると思う。
 菅直人は、震災を大連立の隠れ蓑にしようと画策しているだけだし、官僚は、震災を大増税の口実にしようとしている。責任感がないことと、危機感がないことは、やはり、表裏一体なのだろう。
 いずれにせよ、もし大連立をするようなことがあったら、今後、絶対に民主党には投票しない。
 今、官僚は、
「ひとつになろう」
とか
「それほんとに必要ですか」
とかいって、自粛ムードをあおっているが、おそらく死者が30000人になろうという大災害では、個人の自粛は、気休めにすぎないか、あるいは、気休めにもならない。
 この自粛ムード自体が、実は、パニックなのだと気がつくべきだ。
 日本人の冷静さを世界中のメディアが賞賛したそうだが、それは私に言わせれば、茫然自失しているにすぎない。
 堺屋太一は、「日本は世界で最後に滅ぶ社会主義国になるかも」と言った。
 改革の痛みよりも、いまだに高度成長の夢に浸ることを選んだゆでガエルなら、おそらく最後まで夢を見ながら死んでいく。
 「世界中の人たちが私達を褒めてる・・・」
 それは、このゆでガエルの断末魔の夢なのかもしれない。