無駄なことなのは重々承知の上で、もういちどだけ菅直人にいっておきたい。
「辞任を撤回しろ」
今日の報道によると、鳩山由紀夫が‘ペテン師発言’を謝罪したそうだが、沖縄をめぐることどもを思い起こせば、そもそも、彼自身がペテン師なのだから、彼には謝罪する値打ちすらない。
菅直人の辞任について、‘政治家同士の約束’と言っているらしいが、一国の総理大臣の地位について、自分との約束が、どうして拘束力を持つと、この鳩山由紀夫という男が考えているのか、わたしにはまったくわからない。
自分から、総理大臣の地位を無責任に放り出しておいて、その後任者を、密室の脅迫で引きずり下ろす、なんていうことが、許されていいわけがない。
菅直人の手腕にはまったく感心しない。しかし、であればなおさら、身勝手に辞任した前総理である鳩山由紀夫のやるべきことは、全力で現総理を支えることではないのか。それが政党政治のあるべき姿だと思うが、ちがうのだろうか。
繰り返しになるが、何度でも言う。
「鳩山由紀夫は、こともあろうに、自民党の提案した内閣不信任案にのろうとした」
のである。では、一体、政権交代とはなんだったのか?
また、こんなことに批判的でないマスコミもまったくどうかしている。‘マスゴミ’といわれるゆえんだろう。
わたしは、5月28日の記事に、‘アウトする球まで追いかける必要はない’と書いた。
内閣不信任案の決議の前に、会談などする必要はなかったのである。
心配しなくても誰も同調しない。
そこで泰然とかまえられないところが、菅直人にリーダーシップがないところなのだけれど、それはさておき、とにもかくにも、今、政権争いなんてしている場合ではない。
いや、もちろん、菅直人が辞めたあと、みるみるすべてがうまくいくということならいいよ。
あるいは、すくなくとも、その詳細な青写真を提示さえしてくれれば、今回のことが、国を憂えてのことだと納得もしよう。
鳩山由紀夫も小沢一郎も、それについてはひと言の発言もないじゃないか。
自民党も、大連立のことしかいわない。
必要なのはリーダーシップだというときに、みんなで寄り集まって何になるの?次期総裁の有力候補が野田佳彦って、また財務大臣かよ。
これもくりかえしになるけれど、今、必要なことは、震災からの復興に向けたロードマップを、国全体に示すことでしかない。逆に言えば、今政権を担うべきなのは、それを示しうるものでしかない。
だから、私が菅直人に勧めたいのは、一晩かけて、国の復興に向けた具体的なスケジュールを練り上げる。そして、それを発表して、これを成し遂げるのが‘一定のめど’だと宣言しろ、ということ。
事実上の辞任撤回なので、与党からも野党からも、マスコミからも、バッシングの嵐だろうけれど、しかし、復興に必要なのはそれでしかない。
たたかれるのは、我慢しろ。自分がまいた種なんだし。