今日の日経ウェブの記事によると、
経団連の米倉弘昌会長は20日の記者会見で、
菅首相が再生可能エネルギーの全量買い取り制度の早期導入を指示したことに「整合性・透明性に欠ける唐突な意思決定」と不信感を示したうえで、「エネルギーの高騰に結びつき、日本企業の足かせが増える」と指摘。「このままでは海外に出ざるを得ない状況になる」とくぎを刺した。
そして、
退陣を表明した菅直人首相がその時期を示さないことについて、「ちゃんと言わないと、若い人の教育上具合が悪い」と苦言を呈し、改めて早期退陣を迫った。
くしくも昨日書いたところだったが、自民党の石原伸晃も、経団連の米倉会長も、‘菅直人が退陣しなければならない論拠’としてあげることができるのは、‘菅直人自身が退陣を表明した’ことだけだという点に注目しておくべきだ。いうまでもなく非常に脆弱な足場である。
三度目になるけれど、私が菅直人に「辞任を撤回しろ」といっているのは、そういうことである。辞任するしないはともかく、いったん辞任を撤回すれば、退陣を迫る側の正体が明らかになるはずである、原発擁護という。
このブログでもよく無断で引用する、加藤祐子の‘JAPANなニュース’は、いつもながら、日本と海外の報道の違いがわかって面白い。
ニューヨークタイムズのマーティン・ファクラー東京特派員とノリミツ・オオニシ記者の記事。
5月17日付では浜岡原発差し止め訴訟を取り上げて、「日本当局は危険を無視するか隠蔽していた」と。
この記事では訴訟弁護団の海渡雄一弁護士(日弁連事務総長)が、浜岡原発訴訟で勝っていれば福島第一の事故は防げたはずだと
いう指摘に続いて、
浜岡を始めとする各地の原発差し止め訴訟から「気になるパターンが見て取れる」と書いています。
つまり原発事業者が「高額な改修を回避し操業を続けるため、地震による危険を過小評価ないしは隠蔽する」という行為が、各地の原発で繰り返されているのではないかと。
また、
「原子力推進のために日本政府と規制当局と原発事業者の間に存在するとされる癒着の文化が、裁判所にも及んでいるのではないかと広く疑われているが、こういう訴訟のほとんどが敗訴に終わっていることからしても、その疑念は強まるばかりだ」とも批判しています。
いうまでもなく、この場合の当局は自民党なのである。
英紙『フィナンシャル・タイムズ』のアジア編集長デビッド・ピリング氏は4月の時点で、「東電に比べればリーマンは些細な話」と書いています。「現代日本は実に、東電がなくては機能できない」、ゆえに「日本の原子力産業は今後おそらく、利益の私物化と損失の社会化の事例として、欧米金融機関の仲間入りをするのだろう」と。
‘利益の私物化と損失の社会化の事例’
なんと的確な表現。
とても面白いので、全文を読むことをおすすめします。
また、日経ウェブにもどると、北沢防衛大臣が、
赤字国債発行法案の成立に野党側の理解を得るため岡田克也幹事長ら民主党執行部が菅直人首相の早期退陣を促していることを批判した。「首相が辞意を前提に発言をしている以上、日にちまで特定して(退陣を)迫るのは与党としてあるべき姿ではない」と述べた。
民主党内で、菅直人おろしに血道をあげている連中は、おそらく完全に、対立軸を見失っていて、茶番に茶番を重ねている。
国民の多くが脱原発を望んでいることが明らかなときに、自民党や経団連は、いわゆる‘原子力ムラ’と結託して、菅直人おろしを画策した。このことは、ほとんどの国民が気がついている。それだけで十分なのである。
いま、民主党の幹部がやるべきことは、党の結束を回復して、菅直人の辞任を引き延ばすことであるべきだ。
自民党の弾薬は夏までもたない。だから、あせっている。いつまでも内輪もめしていないで、すこし戦略を練ってみたらどうなのだろうか。たしかにがっかりさせられるな。