ほんとうのの対立軸、最大の敵

 今、この国で起こっている様々なことの、いったい、何が対立軸なのか、という点を見誤ってはいけない。
 九電社員が子会社社員らに対し、一般市民を装って再稼働賛成の意見メールを送るよう依頼していたことが発覚した。
 これに対し、菅直人首相は6日、原子力発電所の再稼働や安全性確認に関する従来の政府方針を覆し、新たな原子力行政の制度や法案づくりに意欲を示した。
 いまのやり方では、経産省に属する、原子力安全・保安院が、再稼働や安全確認の権限を握っている。
 原発を推進する側の下っ端に、原発のお目付役が務まるはずがないし、現にまともな検査がなされていなかったことを、わたしたちは、今も今、眼前に見ているではないか。
 また、全然無関係に見えるかもしれないが、中山義活というひとで、菅直人首相から、副大臣に昇格の電話があったのに、すぐに取り消されたと、マスコミで吹聴してまわっているのがいるが、このひとが、経産政務官だ。
 日経WEBの記事によると、

 体調不良の池田元久副大臣を代え、中山義活政務官を昇格させる。空席となった政務官原発事故対策を担当する「細野チーム」の一員を起用し、経産省に細野氏の足場をつくる。首相周辺はこんな構想があったと明かす。

 経産省電力自由化のための足場をつくることは、重要な一手だったろうと思う。
 なぜなら、岸博幸のこの記事によると、
http://diamond.jp/articles/-/12950
経産省も一枚岩ではなく、例の田中角栄の電源3法のうまみにどっぷりつかった資源エネルギー庁に対して、経済産業政策局には、スマートグリッド後進国となることに、危機感を覚えている官僚もいるようだからである。
 ただ、古賀茂明がクビにされかかっているように、経産省の幹部は、岸博幸の言葉を借りると

明確に抵抗勢力であるということになります。

 6日、経産省の幹部が、インサイダー取引の疑いで、強制調査を受けたが、資源エネルギー庁の前次長である。
 こんな具合に、いま、政治の最大の対立軸となっているのは、電力の自由化であり、そこでは、ぎりぎりのつばぜり合いが繰り広げられている。
 自民党の‘菅直人が辞めれば協力する’という、なんだか意味がわからない要求も、そういう背景でみたときに初めて納得がいくだろう。
 大震災からの復興が対立軸でありうるだろうか?復興に抵抗している政治家がいるとすれば、万死に値するだろう。
 だが、電力の自由化を阻止するために、震災の復興を人質に取っている政治家は、自民党にも、民主党にも、‘いる’といわざるえない。
 田中角栄の電源3法で、原子力ムラに流れ込んでくる莫大な既得権益、今、国民の最大の敵は、そこにいると認識すべきだろう。
 ちなみに、見落としていたが、先月21日の日経WEBに「経団連会長、菅政権批判の真意」として、こういう記事があった。

 「大震災と東電の原発事故が経団連の転換点になる可能性がある」。ある関係者はこう指摘する。

 東電は、経団連に会長や副会長を送り込んできた会員企業の筆頭格。とくに東電の勝俣恒久会長は米倉会長と懇意の間柄とされる。原発事故で東電が財界活動を自粛したことで「米倉会長の求心力が弱まるのでは……」との見方も出ている

云々。