もしかして‘幕引き宣言’か

 日経WEBの記事によると、小沢一郎が、8月1日、自らに近い衆院議員と懇談したおりに、

「菅さんは自ら辞めるなんて言っていない。代表選は辞めさせてから始まる話だ」と指摘。そのうえで「代表選に出たいなら、出たい人間が辞めさせなければいけない」と述べた。

とあり、おやっと思った。
 また、

 民主党鳩山由紀夫前首相と自民党石原伸晃幹事長、伊吹文明元幹事長が2日、都内のホテルで会談した。菅直人首相の退陣時期や、今後の政治情勢について意見交換した。

という短い記事もあった。日経WEBの面白いのは、はてな自動リンクと同じように、「類似している記事」というのが、自動に検索されて表示される。
 そのおかげで、この同じメンツで、4月15日にも、会談していることがわかる。
 菅直人のG8帰国後の不信任騒ぎは6月のあたまだから、あのときの鳩山由紀夫の‘ペテン師’発言は、石原伸晃を意識してのものだったと想像もできる。
 5月末からずっと、この間の菅直人おろしは、鳩山由紀夫、小沢派と自民党が連携したものだろうと書いてきたけれど、おおざっぱに‘アタリ’か‘ハズレ’かといえば、‘アタリ’といってよかったようだ。
 たぶん、こんなことは、間近にいる新聞記者などは、もっと細かいことまで知っているはずなのである。ただ、書けないだけで。
 それで、冒頭の小沢一郎の発言は、じゃあ、何を意味するかと考えてみると、菅直人おろしについて
「おれはもう知らない。出たいやつが自分でやれ」
という意味にもとれるわけで、そうとるとすると、事実上の‘クーデター幕引き宣言’にもとれるわけである。鳩山由紀夫石原伸晃の会談は、それを受けての今後の話ということだろうか。
 わたくし、現在、地デジ難民なので、見ていないが、仄聞するところによると、野中広務菅直人を「歴代総理を見てきたが、菅さんほど一生懸命働いている総理は記憶にない」と評したそうで、同席した藤井裕久首相補佐官も「戦後32人の総理がいるが、12〜13人は菅さんより下(の評価)だ」と受けたそうだ。
 これはひとつには、長老らしい気配りで‘はなむけ’という意味合いが大きいだろう。鳩山由紀夫のように‘辞めなきゃお前はペテン師だ’と言うんでは、辞めようかなと思ってた人間だって意地になるというものだ。鳩山由紀夫に限らず、民主党にはそのあたり人情の機微に長けた政治家がいない。
 しかし、野中広務菅直人を評する理由のひとつは、これは私の勘ぐりだが、‘小沢一郎嫌い’ということがあると思う。
 これからも‘小沢一郎のクーデターが失敗に終わった’という政界の空気みたいなものが読み取れると思う。小沢一郎の影響力が低下することになるのかどうか。
 いずれにせよ、一番気にしなければならないのは、再生エネルギー促進法案が実のある中身になるかどうかだ。
 菅直人の‘退陣案件’などと呼ばれて、ほとんど中身が議論されないまま成立したとしても、あとから骨抜きにされるのは目に見えている。心ある官僚や政治家に頑張ってもらいたいと思う。