上杉隆の東京電力会長インタビュー

knockeye2012-01-05

 今日から仕事始め。
 まだ五日だというのに、‘おめでとう’なんていうと、こちらがおめでたいみたいだ。
 本当は、松が明けるのは、お江戸で八日、上方では十五日なので、まだまだ‘おめでとう’でいいはずなのだが。
 年末年始は実家に帰っていて、久しぶりにテレビを見た。
 盆と正月に見るくらいでちょうどいい感じ。
 特に、ニュースなどは見ていると腹が立つだけ。でも、腹が立つことに対しては、腹を立てているべきなんだろう。
 ・・・
 帰阪の新幹線の車内用に、週刊エコノミストを買って読んでいた。

 面白い記事が多かったのだけれど、なかにひとつ、唖然とせざるえない記事があった。
 京都大学の某教授(実家に置いてきたので実名がわからないだけ。匿名にすることに他意はない)が、橋下徹の政治姿勢を、民主主義の暴走ととらえて、「民意なんて幽霊みたいなもの」と書いていたのである。
 好意的にとることもできる。しかし、橋下徹と、この京都大学の教授を比べて、どちらがより‘幽霊’か、と自分の心に尋ねてみると、間を置かずに、この教授の方だと答えが出た。
 ‘民意なんて幽霊みたいなもの’と思いながら、大学の教授という社会的責任のある地位にいることは、かなり見苦しい生き方だとおもう。むしろ、‘醜い’と言いたい。
 ・・・ 
 上杉隆がジャーナリストを休業するのはとても残念だ。
 私は応援したいし、たぶん、本人が思っているよりずっと多くの人が応援していると思うけれど、ただ、この人は、ジャーナリストにありがち(なのかどうか)、‘あたって砕けろ’タイプの人みたいで、長期の戦略、戦術といったものには長けていないように思った。
 特に、後には、小沢派の言い分に偏っていたように見えたのは、私だけではないだろう。そう見えてしまうのはやはりまずかった。
 それから、インターネットとのかかわり方も中途半端だった。テレビや新聞とは一線を画す、ネットならではの報道のあり方を模索できる人だと思うので、それについては、これからも期待していきたい。
 上杉隆の最後のドキュメントというのが、週刊文春に載っている。

・・・結局、計画停電そのものが無意味で、しかも東北の被災地には東京から電力を送ることはできない、という正しい情報が、メディアによって遠慮がちに伝えられたのは、それから半年以上たった秋のことであった。
 なぜ、メディアは事実を報じることができないのか。
 それは、勝俣恒久東電会長が初めて会見に登場した際の、私との喜劇的な次のやりとりを見てもらえば理解できるだろう。
 上杉 「会長にお伺いします。いま、東電管内の大口事業主などに対しては節電や停電の協力を呼びかけていらっしゃいます。一方で、民間放送など民放テレビには節電すらお願いしていませんね。阪神の時も、柏崎刈羽原発のときも停波するなどテレビは節電に協力しました。なぜ、電力消費量の多い民放テレビさんにはお願いしないんですか?」
勝俣 「えっと、あした広告を出します」
上杉 「は?」
勝俣 「明日だな(横の幹部職員に確認をとりながら)。はい、明日、全紙にお詫び広告を出しますから」
 勝俣会長の発言を理解できなかった私は、質問の仕方が悪かったのだと思い、もう一度、おなじ質問をくりかえした。静まりかえる会見場で、勝俣会長の声がマイクを通して再び響いた。
 「え、はい。テレビ局さんにも広告を出しますから」
 それでも意味のとれない私が、勝俣会長の真意を理解したのはその日の夜、情報源からの電話によってだった。
 「上杉君、あれ、勝俣さんは君のことを脅していたんだよ。きっと新聞記者か、テレビ局の記者と勘違いしたんだろうな。何しろ、生まれてこの方、おそらく批判的な質問などされたことないから。広告費をちらつかせたんだ」

 この記事と、先に挙げた京都大学の某‘幽霊’教授の発言を比べて、何かを感じない人は、そもそもこんなブログに目を通す物好きではないだろう。
 ここには具体的な事実があり、具体的な発言がある。具体から離れているものこそ幽霊なのだ。