大飯原発再稼働をめぐる騒ぎの何が不毛か

knockeye2012-06-17

 大飯原発の再稼働をめぐって、この国の首相がぶちあげた、みごとなまでの空っぽな演説には多くの人があきれているだろう。
 しかし、大飯原発の再稼働をめぐるわーわーした感じを見ていると、「またか」とうんざりする。この感じは、六、七十年代あたりになんとなく始まって、ソ連が崩壊するまで細々と続いて、この国のまじめっぽい人たちを楽しませた、反ソ、親ソ、反米、親米、右だ、左だの、やれやれ感満載のあの田舎っぽい祭りを思い出す。
 大飯原発という御輿があると、確かに祭りは盛り上がるのだろうけれど、大飯原発を再稼働するかしないか以前に、その判断基準さえ存在していない。原発事故からすでに一年三ヶ月をすぎているのに、それどころか、原発事故の原因さえまともに究明されていない。民間の大前研一が立ち上げたプロジェクトが‘セカンドオピニオン’として、原発事故の詳しい調査をすでに報告しているのにもかかわらず、ファーストオピニオンはいつできるかわからないというお粗末さだ。
 大飯原発再稼働にあたって、野田佳彦は「国民の生活を守るため」とのたまったわけだが、去年の3月11日に副島第一原発が、現に、レベル7の事故を引き起こしたのだから、それまでの原発行政に誤りがあったのは否定しようがない。だから、原発を再稼働するにせよしないにせよ、それまでの原発行政を刷新することこそ政治の役目である。
 ところが、野田佳彦は、いわゆる‘原発村’原発行政に巣くう既得権益には一切手をつけず、なしくずしに原発を再稼働させる。
 この姿勢は、財政を悪化させた原因である官僚支配の構造は放置して、消費税だけをやみくもにあげようとする態度とまったく同じだ。
 この一年に、少なくとも、東京都は、猪瀬直樹副知事を中心に、ガス発電プロジェクトを、神奈川県は、黒岩祐治知事がソーラープロジェクトを立ち上げている。このほかにも、地方自治体や、民間では、安全で持続可能なエネルギーのために、知恵を絞って頑張っているところはいっぱいある。
 野田佳彦という男は、この一年間、いったい「国民の生活を守る」と口にできるような何をしたのか?
 去年の3月11日にこの国を襲った津波は、2万人もの人の命を奪ったのである。それからすでに一年三ヶ月をすぎた。わたしたちもその間眠らされていたわけではない。もうすこし知性でものを考えてもよいのではないか。
 以下は、去年の7月31日にこのブログに書いた文章。ちょっとコピペしようと思って読みなおしてみたけど、あきれるんだけど、そのときから何も動いていない。それで、そのまままた載せることにした。