「リンカーン弁護士」

knockeye2012-07-29

 ららぽーと横浜の映画館で「リンカーン弁護士」。
 昨日の「ダークナイト ライジング」がごてごてのゴシックだったのと対称的に、こちらはハードボイルド。個人的にはこのほうが体質に合うかも。
‘NTGUILTY’というナンバープレートをつけたリンカーンで、法廷から法廷にと事件を拾って歩く‘ストリート’な弁護士がまきこまれるちょっと厄介な事件。舞台が西海岸なので、バットマンは助けに来てくれないし、来ても役に立たないんじゃないかな。あの恰好では、陪審員に説得力がない。
 ライアン・フィリップ演ずる依頼人、ルイス・ルーレの、若造のくせに偉そうにしやがってと、むかつく感じが実に憎たらしい。こっちはこいつが犯人だと知ってるので、陪審員が大ウソの弁明にほだされかかったりすると、‘キーッ’となる。
 こういうこと書いてもネタバレにならないのが法廷映画のよいところかも。だって本人がいうんだもん。オレがやったからさ、みたいなことを、主人公の弁護士に。秘匿義務があるだろ、みたいな。それで、観客は主人公と‘キーッ’という感じを共有するわけ。
 こうなってくると、正義だの悪だの法だのトラウマだの、全然関係ないわけ。このむかつく奴なんとかしろっていう。 ぼこぼこにしろ、みたいな。
 でも、法廷映画のばあい、おもしろいのは、物理的にぼこぼこにしても全然カタルシスはないのね。この主人公は、この依頼人からきっちり成功報酬をせしめながら、犯人を法的に追い込む。出し抜いてやったという勝利感がやっぱりカタルシスですよね。
 依頼人と弁護士が秘匿義務に縛られた、ある意味では無法地帯で、心理戦の駆け引きを繰り広げる。
 女優陣では、マリサ・トメイが美熟女好きにはたまらない。どこかで聞いた名前だなと思ったら、「その土曜日、7時58分」に出ていた。あの時は、おばかな役どころだったけれど、今回はずっと知的で、今度の方がセクシーかも。
 なぜかプレミアスクリーンだったので、とりあえずリクライニングを倒して観た。