韓国の権力の闇

knockeye2013-07-10

 よくわからないけれど、どんな国にも権力の闇といったようなものが、きっとあるのだろうと思う。
 韓国のソウル高裁で、かつて植民地時代に強制徴用された韓国人の賠償請求が、初めて認められた。ほぼ1世紀前の植民地支配の賠償請求などということが、国際的に認められるのかどうか疑問に思うが、それよりも、この背景に、韓国の方向転換の意思がはっきりと見て取れることが最も重要だ。もはや、日韓関係の修復はありえないと考えておくべきだろう。
 遡って考えれば、李明博大統領が、慰安婦問題と竹島問題で、突然、強硬な態度をとりはじめたのも、お兄さんが逮捕されたことがきっかけだった。あの逮捕が正当なものだったのかどうか、わたしは今も疑問に思っている、というのは、李明博大統領自身は経済人として成功して政界入りしているので、肉親にしても、リスクを冒してまで不正に走るとは想像しがたい。
 つまり、この時と今回のことは、韓国の司法を動かしうる、ひとつの統一された意思をもった、何らかの力が働いた結果だと考えれば、その意思の向かう先に何があるのか、わかりやすいと思う。
 同じ時期に、金大中元大統領が死去したこともなにか影響があったかもしれない。日本に滞在中の金大中を拉致誘拐して、海上で殺害する寸前にまで事を進めたものたちは、完全に払拭されてしまったのか。そう考えるのは楽観的すぎるだろう。
 朴槿惠の大統領就任は、彼女の父親が率いていた、軍事政権のリニューアルであるかもしれない。
 今、韓国が日本に対して仕掛けているのは、ネガティブキャンペーンであり、プロパガンダ戦争だ。これから、日本の政治家が、韓国に対するときは、このポイントを外さないようにしなければならない。橋下徹を反面教師として、日本政府が心掛けるべきことは、国際社会に日本に対するマイナスイメージを与えないことだ。日韓関係はもはやどうでもよい。
 日本は第二次大戦の敗戦以降、民主的な平和国家として再出発し、東アジアの安定に貢献してきた、このブランドストーリーに傷をつけてはいけない。
 今回のことで言えば、1965年の日韓請求権協定で、あわせて5億ドルの経済協力を行うことで解決済みとしてきた経緯がある。韓国も2011年までそれに対して何の異議も唱えてこなかったことを強調しなければならない。今回のことは、韓国の日本に対する悪質な誹謗中傷なのだということを、世界にむけて表明していかなければならない。菅義偉官房長官のいうような
「日韓間の財産請求権の問題については最終的に解決済みというのがわが国の従来の立場、その立場に相容れない判決なら、わが国としては容認できないと考えている」
では、何も伝わらない。
 1965年の5億ドルは、1ドル=360円とすれば、1800億円、大学の初任給が2万2〜3千円だった時代に、これはけっして少額ではない。しかも、そのときからすでに半世紀近くが過ぎ去っている。
 戦争の反省はもちろんしなければならないが、今回の韓国のような、恣意的で、度が過ぎた賠償請求が、むしろ、国際秩序を不安定にすることは、第一次大戦の戦後処理などを見れば明らかで、その意味で、韓国の態度は、国際的に見ても異例であり、正義の回復を目指したものというより、かつての宗主国に対する憎しみの表現にすぎないといわざるえないだろう。法は正義のためにあるのであって、復讐のためにあるのではない。
 これは、朴槿惠大統領が、先の中韓首脳会談で、日本の初代総理大臣、伊藤博文を暗殺した安重根を顕彰する石碑の建立を提案したことや、また、ニューヨークの横尾忠則の展覧会で、旭日旗をモチーフにしたポスターの展示にたいして、在米韓国人団体がMoMAに抗議したことなど、右傾化しているのは、日本ではなく、むしろ韓国であるということを国際社会に理解してもらうよう努力していかなければならない。
 こうして考えてくれば、あの新大久保あたりで変な連中が繰り広げている‘ヘイトスピーチ’なるものが、いかに韓国政府の役に立っているかよくわかるだろう。あれをYouTubeにアップするだけで、日本に対するネガティブキャンペーンとして、素晴らしい効果が期待できるだろう。なにしろ、日本人が見ても恥ずかしいのだから。
 今回のことに、日本の政治家が、‘売り言葉に買い言葉’めいた発言をして、韓国を利するようなことがないように、冷静な対応を願いたい。