飼い犬かよ

knockeye2013-10-14

 クーリエ・ジャポンにあった‘「競争」も「平等」も大嫌いな不思議な日本人’という記事はショックだった。
 そもそも、日本は格差が小さいのか大きいのかというと、発展途上国にくらべれば、格段に格差が小さいのは当然としても、まず、ジニ係数でいえば先進国の中間くらい。つまり、格差は‘ふつう’ということ。その一方で、所得占有率といって、金持ちがどれくらい富を占有しているかをしめす数字については、日本はむしろ低い方に入る。
 もうひとつ、相対的貧困率というのがあって、日本はこれはアメリカに次いで高い。相対的貧困率とは、‘真ん中の人の所得の半分に満たない人の割合’なので、上の所得占有率の結果と併せて考えれば、日本の富は、‘中間層にのみ集中している可能性が高い。’とthe Huffington postの記事にあった(これも後でリンクしておく)。
 にもかかわらず、「格差が拡大した、あるいは、する」と考えている人の割合はアメリカよりも高い。つまり、比較的格差の小さい先進国のなかでも、まあまあふつうで、しかも、国民の所得が高所得者に集中しているわけではなく、むしろ、中間層に手厚いにもかかわらず、格差が拡大しているという意識だけはずば抜けてたかい。
 つぎに、「所得はなにで決まるべきか?」というアンケートの日米比較のグラフがあるが、日米共に「選択や努力」で決まるという答えが一番多いものの、アメリカでは、それについで、学歴、才能、家庭環境、運、というぐあいに、それ以外の要素もあってしかるべきと考えているのに対して、日本は、ほぼ、「選択と努力」のみで、他の答えはないにひとしい。それで、振り返っておくけど、中間層に富が集中しているってことを思い出しといてね。
 しかも、「自立できない非常に貧しい人たちの面倒をみるのは国の責任である」というアンケートについて、そう思う日本人の率は、諸外国にくらべて極端に低い。スペイン96%、英国91%、韓国87%、アメリカでさえ70%のひとがそう思っているのに、日本では59%、6割にみたない。
 さらに、「貧富の差が生まれても、多くの人は自由な市場でよりよくなる」というアンケートについても、日本は49%でこれまた諸外国にくらべて、自由経済に不信を抱いているひとが極端に多い。ちなみに中国75%、韓国73%、アメリカ70%、ロシアでさえ53%。
 この調査結果について、もし、日本人というのを伏せられていて○○さんになっていたとしたら、わたしなら、○○さん、じゃあどうしようっていうわけ?って突っ込みたくなると思う。
 ただ、私がショックを受けているのは、そういうことよりも、実は、ずっとずっと昔、このブログに書いたことを思い出したからで、たぶん、まだ民主党政権さえ生まれていなかったときだと思うけれど、‘手をつないで走る徒競走’っていうことについてちょっと書いたことがあって、「小泉のせいで格差社会になった」みたいなこといってるけど、それって、一部の小学校で、運動会のとき、敗者が出ないように手をつないで、横一列になって走る徒競走と同じじゃないかみたいなことを書いたのだったが、このアンケート結果って、「手をつないで走る徒競走」そのままみたいに私には見えて、空恐ろしい。
 誰も勝たない。富は、手をつないだ中間層が独占している。そして、そうした同調圧力に与しない、手をつないで走らない人たちには、残酷なまでに冷たい。
 これが日本人なのかなと思うと情けなくなる。手をつないでいるというより、リードにつながれている飼い犬同然だと思う。