関西の美術巡り

knockeye2014-05-06

 関西に帰っている間に、神戸市立博物館、白鶴美術館、香雪美術館、横尾忠則現代美術館、兵庫県立美術館に行った。
 神戸市立博物館はボストン美術館所蔵の北斎展。ただ、北斎に関しては、観まくっているので、諸国瀧廻りも富嶽三十六景も全品観ているし、さすがに人混みにまみれてまでという気持ちにはなれないのだけれど、ただ、葛飾応為の肉筆画が一点あって、それはむむっとなった。

 白鶴美術館は、美術館の建物自体がちょっとしたもので、こっちでいうと畠山記念館みたいな感じ。今は狩野永徳と狩野元信の四季花鳥図屏風の、ともに右隻が展示されている。季節を考えてのことだろう。また、この日は京都から冷泉家のだれかだかが講演に来ていた。
 香雪美術館は、その坂を下りたあたりにある。森田りえ子の展覧会。森田りえ子は、金閣寺の杉戸絵を依頼されたりする、認められた日本画家なんだけれど、わたしにはかなりエロチックに感じられる。マリー・ローランサンよりはタマラ・ド・レンピツカに近い。ボリュームのあるゴージャスな美しさを好むようで、それが日本画だというギャップが面白い。洗練されずにもっとごてごてした方向にいってほしい。ロリータ風の女の子の絵とか、そういう風になりつつある感じはある。
 横尾忠則現代美術館は、旧兵庫県立美術館の西館で、震災前までは、小磯良平美術館だった(と記憶する)ところが、一昨年の11月から面目を一新して開館したそうだ。横尾忠則の美術館は西脇にもあるにはあるのだけれど、とにかく多作なこの画家の美術館としては、やや手狭ではあった。この画家の絵は一度にたくさん観た方が楽しい。今回はターザンが中心だった。

 兵庫県立美術館は、「夢見るフランス絵画」と題して、「ある収集家」の所蔵品71点を展示している。これは、後にBunkamuraに来るみたい。
 匿名の収集家の所蔵品を見て回っていると、持てるものと持たざるものの落差をひしひしと感じてしまうが、それでも一番持ってるのは国や企業であるには違いない。
 印象派からエコール・ド・パリくらいの絵だけれど、ヴラマンクやキスリングによいものが多い気がした。

マルケの絵が一点。最近、マルケが好きになっている。水墨画みたいだからかもしれない。
 奈良県立美術館でやっている「アメリカ現代美術の巨匠達」にも行きたかったが、ちょっとスケジュールがこみすぎた。
 それでも関西の美術館は東京よりはずっと人が少なくて観やすい。東京の人口密度は、あれを標準にしてものを考えるのはよくないと思う。