
- 作者: ポールオースター,Paul Auster,柴田元幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/05/30
- メディア: 単行本
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この本は、週刊文春に載っていた、岩松了の書評がかっこよくて。
9.11以降、アメリカのやってきたことを、「テロとの闘い」なんていう標語で片付けられたりする人は、けして作家になんかならない。
それは、ベトナム戦争、太平洋戦争、と遡っていっても同じことだ。
孫娘とビデオを見続ける老作家の、「東京物語」への長い言及は感動的だが、それは、上に書いたような意味で。
プロパガンダはウソではない。ただ、プロパガンダはプロパガンダだといっているだけ。
前に、日本の‘右翼’、‘左翼’について、ワルぶってるのと、いい子ぶってるのとの違いだと書いたけれど、敗者のプロパガンダと勝者のプロパガンダの違いともいいかえられる。
どっちにしても真実はないのだが、多数の人がどちらかに乗る、こうしたプロパガンダのどちらにも与しないとなれば、孤独にならざるえないだろう。
そういう闇の中からこういう物語が紡がれる。だからこそ読むんだし。