平和憲法というお題目、平和国家というブランド

knockeye2015-07-15

 安保関連法案が可決したそうですな。
 漏れ伝わるところによると、泣いたり騒いだり、あいもかわらず、にぎやかなご様子。
 強行採決なのだそうですが、しかし、反対する方の態度も強行だったように見えるんですよね。国民の理解が深まっていないのはそうでしょうけど、野党も彼ら自身の安全保障政策について、国民の理解を深めようとしたとは見えないんです。もちろん、そういうものがあるとしてですが。戦争が始まるぞ、徴兵制になるぞ、と国民の不安を煽っただけだと言われても仕方なくないでしょうかね。
 安倍さんのおじいさんが総理大臣だったときは、「安保反対」って言ってたわけです。今、安保に反対してる政治家って、どんな人たちでしょうね。
 それに、違憲、合憲って事で言えば、ずっと「自衛隊違憲だ」って騒いでた人たちがいたんです。でも、その人たちは、自分たちが政権についた途端に、「自衛隊は合憲」ってあっさり方向転換しちゃったんですよ。
 笑える話なんですが、私が言いたいのは、六〇年代、七〇年代を通して、あたかも政治の重要議題であるかのように語られてきた「安保反対」や「自衛隊違憲か合憲か」といったテーマが、実際には、なんら現実にコミットしていないという事実です。
 言い換えれば、この国の政治家は、この国の政治の現実にコミットせずに、20年以上も空疎な議論を繰り返してきたという事です。
 この国の安全保障が、歴史上はじめて現実の脅威にさらされたのは、たぶん、蒙古襲来のときだったと思うのですが、そのとき、この国の中枢にいた、京都の公家たちは、家にこもって加持祈祷をしてたんですよね。実際に戦場にいたのは武士たちですが、戦後、公家たちは、蒙古が退散したのは、自分たちの加持祈祷で神風が吹いたからだと主張するわけです。
 しかし、どうでしょうね?。神風が安全保障に役立ちましたか?。
 現実的な議論をしてほしいんですよ。私たちの税金で議論をしているわけで、私的な会合での冗談ではないんだし。
 わたしは別に現政権を擁護しているわけではないんです(このセリフ菅直人のときもよく書いたな)。ただ、現在の日本の外交をめぐる状況を考えると、中国、ロシア、北朝鮮、韓国、米国、豪州、インド、チベット、フィリピン、ベトナム、台湾、などなど、どこも非常に流動的な状況だと思うんです。
 ですから、これからの日本の外交をどう舵取りしていくべきか、その方向を見据えつつ、その外交政策の重要な一部として、安全保障政策をどうしていくべきか、各政党がちゃんと示すべきだと思うし、それができないなら政党の看板をおろすべきだと思います。
 「戦争法案反対」って、戦争法案っていうマッドな法案があるなら、私も反対ですが、そんなもんないんだし、「I am not ABE」って、日本には苗字が多いですから、ABEでない人もいっぱいいるでしょうけど、そういうお題目を唱えれば何とかなるって考え方は、迷信だと思いますね。
 小川和久さんは、こうツィートしてました。

@kazuhisa_ogawa: 最高法規である日本国憲法日米安保条約国連憲章のどの条文も否定していない。違憲なら条約締結も国連加盟もない。ゆえに自衛権は個別的、集団的ともに違憲ではない。そのもとで日本政府は集団的自衛権を「権利はあれども行使せず」と政策判断。それを今回は限定的行使容認とした。これも政策判断。

 また、一方で、

「平和国家としてのブランドが通用しなくなり、活動の危険が高まる」と反対する声明を発表した

NGO非戦ネット」の言う事もよくわかる。「平和国家」という日本のブランドイメージは、外交上の大きなアドバンテージなので、これを損なうのは、外交政策として愚かしい。今までの日本の政権と安倍政権がそんなに大きく変わっているわけでもないのに、この政権は、建前にせよ、本音にせよ、ブランドイメージ戦略がきわめて拙劣。それは、褒められたことじゃない。「積極的平和主義」を掲げているなら、「平和国家」のイメージも守らなければならないはずです。