「TPP反対」と「安保法案反対」がほぼ同じ論法であるについて

knockeye2015-10-29

 まあ、素朴な疑問として、書いておきます。
 それは、「TPP反対」と「安保法案反対」の論理がほとんど同じに見えるという話。
 「TPP反対」の方は、「TPPなんて参加したら、アメリカの企業にむしりとられるぞ」っていう論法でしょう?。何年か前に、ジャック&ベティになんとか暦の映画を観に行ったら、「サルでもわかるTPP」とかいう、けっこう有名なサイトを立ち上げた学者さんが講演に来ていて、その時初めて、「なるほどTPPってこういうことか」と思った程度の私なんだけど。
 ただ、その時の話を聞いて、サイトを読んだ時も、今と同じ疑問が頭に浮かんだ。それは、この「たられば」の話の大前提が、「日本は絶対アメリカの言いなり」ということなんだ。それがホントなら「TPPなんかに参加したら、アメリカの言いなりだぞ」っていうまでもなく、「日本はアメリカの言いなりだから、TPPに参加させられる」ってのが、論理的なんじゃないの?。つまり、「日本はアメリカの言いなり」がホントなら、反対も賛成もないわけでしょう?。
 逆に、日本がアメリカの言いなりじゃないなら、TPPに参加しても、日本に有利に条件を導く余地があるわけでしょう?。だから、問題は「日本がアメリカの言いなり」か否かであって、「TPP是か非か」じゃないわけじゃないですか。
 先ごろまで騒がしかった「安保法案反対」の論理は「集団的自衛権なんて認めたらアメリカの戦争に巻き込まれるぞ」っていう論法でしょう。なるほどってところあるよね。
 でも、それも、さっきの論法と同じで、「日本がアメリカの言いなり」だから、「アメリカの戦争に巻き込まれるぞ」って言ってるわけでしょう?。そしたら、もし、「日本はアメリカの言いなり」ってのがホントなら、集団的自衛権なんて認めようが認めまいが、アメリカの戦争に巻き込まれるでしょう。「言いなり」ってそういことでしょう?。
 だから、言いたいのは、「TPP反対」の人も、「安保法案反対」の人も、「日本はアメリカの言いなり」っていう絶対条件は、ハナから議論の余地はないのね。つまり、日本の国家としての主権を全く信用してないのに、それがTPPだろうが、安保法案だろうが、「反対しろ」っつったってさ、つまり、「主権がない」と信じてる相手に向かって、「主権を行使しろ」って主張は、そもそも、自家撞着なわけじゃない?。
 だから、私が言いたいのは、「戦争は外交の敗北」って記事でも書いたけど、日本の政治や官僚の外交力、交渉力を上げるってことが最も重要なんであって、そのための建設的な議論をしたほうがいいんじゃないの?。それが、世界の他の国のどこでも、みんなが取り組んでる政治ってことなんだし。
 TPPに参加したら「絶対こうなる」、安保法案なんか認めたら「絶対こうなる」なんてことは「絶対ない」。なぜなら、世の中に「絶対」なんてないんだから。
 何かこう、国際政治の入り口で、足がすくんで動けなくて、ああだこうだ、理屈こねてる感じが、「セックスなんてしたら、男に弄ばれてボロボロになる」って頑なに信じてる処女みたいな、なんか、そんな感じなんだよね。
 集団的自衛権なんて、世界中の国がみんな持ってるんでしょう?。それを「戦争法案」とか、なんだかね。
 「TPP反対」も「安保法案反対」も、結局、経済も防衛もアメリカに頼りきりでい続けたい、独自の外交、独自の戦略で国際政治に参加するのが不安っていう、甘えの心理にすぎないように見えるんですよね。まあね。