「マイ・インターン」

knockeye2016-02-17

 たぶんDVD発売っていうことでなのか、イオンシネマで「マイ・インターン」を期間限定上映していたのを観に行った。アン・ハサウェイロバート・デニーロのコメディで、公開当時から佳作の評判だった。
 アン・ハサウェイが演じるジュールズという女性は、立ち上げたファッション系のECサイト(日本で言えばゾゾタウンみたいのかなと思ったけど)を瞬く間に急成長させた経営者で、今はNYの工場跡地を改装して、一人で取り仕切っている。
 ロバート・デニーロの演じるベンは、リタイヤして悠々自適な生活を送っていたのだけれど、奥さんに先立たれて、ちょっと持て余しているところに、市の高齢者雇用のプロジェクトで、「シニア・インターン」というのに応募して、ジュールズの会社に雇われる。
 実は、ジュールズが改装して使っている場所は、ベンがかつて40年勤めた工場の跡地だった。ベンは、仕事も人もまったく様変わりしたものの、元の職場に人知れず復帰したわけだった。
 この辺で仕掛けが出来上がっていて、NYで働くっていうことの今昔の価値観がうまく映画的に対比できれば面白いことになるだろうと期待できるし、その期待は裏切られない。
 ハンカチってなぜ持つの?とか、ネクタイはなぜするの?とか、そういう哲学の対話が面白く、むかし、ノーラ・エフロンが「映画監督は、撮影現場というパーティーのホスト」と言っていたけれど、その意味では、このパーティーは話がはずむよいパーティーになっている。
 NYって街がこの映画の影の主役でもあるわけだろう。ビル・ゲイツが世の中を引っ掻き回す前は、NYで働くってこういうことだったよなとか、地元の人たちは思うのではないだろうか。当時は何も特別に思わなかったけど、と。
 「ニューヨーク、アイラブユー」なんか特にそうだけど、街そのものが主人公になりうる街って、まあ、ニューヨークとパリくらいしかないかな。東京はキビシイかな。「ピンクとグレー」は渋谷が印象的ではあったけれど。
 ところで、話は変わるが、私の職場でももうリタイヤした先輩が働いているけれど、バリバリ働くってわけにはいかないものの、やっぱり来てもらって助かると思うのは、曖昧な表現になるかしれないが、人間力とでもいうのか、いてくれると精神的に助かるっていう人がいるのは確かだろう。
 リーマンショックのときに、だいぶ人員を削減したのだけれど、景気が持ち直した後に、すいませんもう一度お願いしますってなった人を見ていると、やっぱり、そういう人だけみたい。
 ベンはユダヤ人で、お歳がら、お葬式ネタも入ってる。いきおい、「サウルの息子」を思い出してしまうが、それにしても、NYのユダヤ人とイスラエルユダヤ人は、同じく「ユダヤ人」でくくってしまっていいのかどうか首をかしげてしまう。
 ユダヤ人にとってイスラエルという国を持ったことが幸せであったのかどうか疑問に思ってしまう。もし、イスラエル建国がユダヤ人にとっても、世界にとっても、良い事だったと証明したいなら、今のようなやり方は改めた方がよいと思う。