3月13日に、サントリー美術館で開催中の「没後100年 宮川香山」を観に行った。
日付を憶えているのは、ついでに、トシ・ヨロイヅカで義理チョコのお返しを買ったからだ。今年はうるう年で、St.Valentine Dayが日曜日でもお返しは月曜日。それでちょっと命拾いした。
ホワイトデーに関しては、バナナマンのバナナムーンゴールドでも、毎回、ショートコントが繰り広げられるのだけれど、今年、設楽さんは、高級なイチゴひつ粒をお返しに選んでいて、これが女性スタッフに受けていた。
おそらく、設楽さんがそのイチゴを買ったんだろうなと思われるお店もあった。「初恋の香り」っていう白いイチゴ。たしかに、数が多い詰め合わせもあるのだけれど、ホワイトデーのお返しとしては、ひと粒で包装しているやつのほうが正解だと思う。太宰治(井伏鱒二だったかな)が「女の手紙に返事を書くときは、なるべく短く書け」とか書いていたのを思い出した。ただ、「義理チョコのお返しにはならないなぁ」とか思いつつ見ていると、「このイチゴひと粒だけホワイトデーっておしゃれじゃない?」と、連れの男に話している女性がいて、「絶対バナナムーン聴いただろっ」と思ったけど。
ちなみにオークラさんのお返しは、トシ・ヨロイヅカだった。これはパクってません(別にいいんだけど)。なぜなら、その情報はポッドキャストだったからです。
横浜に宮川香山の個人美術館が常設されているので、観ようと思えばいつでもいけるのだけれど、そう言いつつ観に行かないもので、こういうホワイトデーのついでみたいなきっかけもまあありかなと。
宮川香山は、最近「超絶技巧」と紹介されることもある、明治工芸のひとり。特徴的なのは、これはこうした工芸品を輸出して外貨を稼ごうとしていた国策のためでもあるのだろうけれど、日本国内にあまり作品が残っておらず、むしろ、海外での評価が高い。同じく帝室技芸員だった、並河靖之の七宝とか、柴田是真の漆芸とかもそう。
この展覧会は、田邊哲人(たなべてつんど)という研究家のコレクションが中心になっているそうなので、横浜にある眞葛ミュージアムの山本博士のコレクションとは違うのだろう。
山本博士のコレクションは書籍化されていて、その広告がよく神奈川新聞に載るので、宮川香山作品の一端は目にすることも多かった。「高浮彫」といわれる、陶器の表面にきわめて写実的な「スーパーリアリズム」とでもいいたくなる装飾を施したもの。
今回の展覧会では、一部の作品が撮影「可」になっていたので、写真を撮ってきた。こんな感じ。
一目で技術の高さがわかる。このころの工芸品に共通して感じるのは、いわゆる「眼高手低」という言葉があるけれど、その逆で、「手」のほうが圧倒的に高い。「手」が暴走していると思うほどだ。これで「どや」と、世界に打って出る明治人の気概に満ちている。でも、「眼」のほうがちょっとおろそかになってないかなとおもわないでもなかったのだけれど、晩年の、装飾的で洗練された磁器はさすがだなと思った。
これは図録の写真。
耳目を驚かす高浮彫からのこの変化は、やっぱり「目が肥えた」んだと思う。「巧くなった」とは違うと思う。巧いのは初めからだから。
ちなみに、河鍋暁斎とも親交があったそうで、
この擬人化したカエルなんか河鍋暁斎を思わせる。
ミッドタウンは、屋内に桜の樹を持ち込んで花見のできるカフェが設えられていた。
造花じゃなかったと思う。啓翁桜だと思ったけど。