静嘉堂文庫美術館 漆芸名品展

knockeye2016-10-15

 昼もだいぶ過ぎてから、漆芸名品展が開催中の、静嘉堂文庫美術館を訪ねた。たいがいの美術館は午後5時に閉まるから、出足でつまづくと1日うだうだしてしまうことが多い。
 というのは、いやもう、へとへとで。三連休が明けてから、仕事に忙殺されていた。電通の社員に比べればましだと自分を慰めるしかない(たぶん、給料を聞いたらこっちが自殺したくなるはずだ)が、月に残業75時間(過労死ラインが80時間)したことがあったが、60時間超えるとやっぱきついよね。自分のばあい、週休2日きちんととることにしている。MLB方式ではなく、NPB方式の登板管理。自己管理できる範囲で働いているので何とかもつんだと思う。
 静嘉堂文庫は成城学園前からバスでちょっとややこしい。ただ、この季節、まだちょっと早いけど、庭も楽しめる。はずだったんだけど、展示を見終わると閉館間際だったので。

 こんな写真撮ったけど、やっぱりなんかおかしかったみたい。設定がへんなぐあいに固定されていて仕上がりが変だった。いじって修正したけど。
 漆芸名品展は、曜変天目や油滴天目が、天目台に載せられて展示されているのと、茶入の付藻茄子、紹鴎茄子の漆繕いをしたものが、フックではないかと思われます。
 それと、目玉は、≪羯鼓催花・紅葉賀図密陀絵屏風≫というなぞの重要文化財が修復後初公開。二曲一双の屏風ですが、両隻とも展示されるのは、11月8日から20日までだそうです。
 漆絵は、柴田是真のものを見たのが最初だった。時代でいえば、幕末のあれは、多分に油彩の厚みを意識したものだったが、これは、桃山から江戸初期らしく、豪華絢爛、贅を尽くすといったもので、その後は主流にならなかったみたい。大げさに言えば、日本美術史上のオーパーツみたいに、ぼっつーんと存在している感がある。
 個人的には、堆黒、堆朱が好きだが、とくに、屈輪文のシンプルで力強いデザインが心地よかった。
 柴田是真の≪柳流水青海波塗重箱≫は、逸品だと思う。青海波塗りじたい、長く途絶えていたのを、柴田是真が再興したものだが、それを色違いの漆で重箱に施し、そして、その流れに逆らう蛇籠が金銀で表現されている。デザインとしてすばらしい。
 柴田是真は、一本の折れた釘を意匠化してみせる天才です。歌川国芳が、自分が年上なのにもかかわらず弟子入りしたこともありました。
 曜変天目も11月8日からなので、そのあたりに訪ねるのがよろしいかと。紅葉はまだかもな。