朔日に休んで、東京国立博物館に「春日大社 千年の至宝」を観に行きました。ほんとは、ティツィアーノを観に行ったのですが、今更ティツィアーノで感動するも嘘っぽいかも。でも、観る価値はある。
以前、カポディモンテ美術館展で観た《マグダラのマリア》がありました。
それと、圧巻だったのはやはり《ダナエ》ですかね。「妥奈江」。
ユピテルが黄金に姿を変えて寝台に降り注ぎ、この女と交わったのだそうです。
モデルは、枢機卿アレッサンドロ・ファルネーゼの愛人だった高級娼婦アンジェラだそうです。日本風に言うとお見立てですね。
ダナエはクリムトの絵も有名ですが、エロさではこっちも負けてませんね。
春日大社の方は、何が悲しくて関西人が上野で春日大社の展覧会を?、って感じなんですが、奈良に行っても案外じっくりとは見ないものですから。
入ってすぐのところの《鹿図屏風》がよかった。六曲一双なんですが、右隻の剥落した感じが。
それと善円作の地蔵菩薩立像(延応二年 1240年)が凛としてかっこよかった。右足を半歩前に出して、まるで阿弥陀仏みたいな立ち方をしています。地蔵菩薩としては珍しいそうです。
その絵葉書があればよかったのですが、この文殊菩薩立像しかなかったので。
でもこれも気品があってよいです。この写真だとわからないのですが、玉眼といって目に水晶が入っていて、きらきら光ります。
それと狛犬が愛嬌があってかわいかった。
これは第三殿の狛犬。
これは第二殿の獅子です。
第一殿から第四殿まで時代が違う獅子と狛犬がいるのですが、それぞれに個性があって、三遊亭円丈に見せたかったです。
時代を追ってみていくうちに、いつのまにか、神社がお寺になっていく。神仏混交とか本地垂迹ってすごい発明ですよ。イスラム教徒とユダヤ教徒はこのさきいつまで殺しあい続けるのか知りませんけどね。
トーハクに行ってしまうとほぼ一日つぶれてしまう感じです。
これは青木木米の《白泥月梅図涼炉》と《銹絵染付花鳥浮文土瓶》。
「涼炉」は、煎茶で湯を沸かすさいに用いる炉だそうです。火をたくので素焼きのものが多く、この炉も素焼きの白泥で、梅は朱泥、風抜きのために開けられる風門を木米は満月に見立てています。
それから、今回、声を大にして言いたいのはこれ。
室町から安土桃山時代の小袖です。
そして、これ。
江戸時代の小袖。
一見してわかるように、反物の幅が狭くなっています。
これは、徳川幕府が倹約令を出して反物の幅を狭くさせた結果です。これこそ「正座」と言われる座り方が一般的になった元凶です。江戸時代に「正座」という言葉はなかった。「端座」とか「かしこまる」とか言っていたみたいです。今は礼儀作法のように言われていますが、じつは、徳川幕府の規制にすぎなくて、「正座」が礼儀作法である根拠なんてどこにもないのに、みんながなんとなく、これが礼儀なんだろうなって納得してるのは、すごく気持ち悪く思えますね。
鎌倉時代の弁財天座像ですけど、正座してないでしょう?。これは神様だからで、下々のものはってその考え方がすでに因習なんですけどね。
反物の幅を元に戻そうという運動もあったみたいですけど、そうしないと着物がまた普及するってことはないと思います。
この小袖のデザイン自体はすごく素敵ですけど。
国宝 長船長光
このところの傾向として、刀剣の前に女子が多い。女子が見入ってます。