東京国立博物館でお花見

knockeye2017-04-02

 実は、週末だけ入院していた。ぎっくり腰は癖になっているが、だんだん頻度があがり、今回のは重篤だった。上野の東京国立博物館で発症したのもまずかった。そこから上野駅までは歩けたし、上野から新宿までもたどり着いたが、ロマンスカーの座席で揺られた後はもう立てなかった。車いすで運ばれ、タクシーで家までたどり着いたが、階段が登れなかったので、そこで救急車を呼んだ。ほんとはそのまま長期入院って感じだったが、金曜日の夜に入院したので、土日は結局放置されるだけ。そのうち、立てるようになったので自主退院した。手術するか、放置するかの選択しかないのは自分で分かっている。今は仕事が忙しくて手術はできないので、放置するしかない。
 上野には国立西洋美術館でシャセリオーと東京芸術大学大学美術館で雪村、そして、東京国立博物館で庭と常設展を見ていたのだが、ここで、発症してしまった。せっかく金曜日に休みを取ったのに。
 東京国立博物館は、しかし、外国人にすごい人気みたい。平日でこれといった特別展でもないのに、すごい行列だった。
 ま、今は庭が公開されていて、桜の季節ということもあるだろう。


 この日はまだ咲きそろっていないが、土日で満開になったというニュースを病院のベッドで見た。
 上野公園の桜はよくみるとソメイヨシノばかりでなく、固有品種もある。国立西洋美術館の横に咲いていた

これはコマツオトメというそうだ。
 また、トーハクにあるけっこうな大樹だが

ミカドヨシノというそうだ。
 あいにくの雨だったが、桜の淡い花の色はあんがい雨にも似合う。



 春草蘆というあずまやが雨に濡れていい感じだった。

 トーハクの常設展は「美術館でお花見」って企画で桜にまつわる作品を多く展示していた。
 例えば、俵屋宗達の≪桜山吹図屏風≫

ほんとはもっといっぱいあったが、この辺でもう腰を痛めている。無理して帰らず、上野で宿をとるべきだったかも。
 ≪桜西行蒔絵硯箱≫

 ≪吉野山蒔絵小箪笥≫

 《瓢型酒入》船田一琴

 浮世絵では葛飾北斎の《舟中より桜の枝折り》

のデッサンはやっぱ確かだと思った。
 ほかにも器とか着物とかひな人形とかいろいろあったが、なにせ痛いし。戦場カメラマンやないねやから。撤収しました。今もまだ痛い。
 国立西洋美術館の常設展では、ブールデルの≪ヴェールの踊り≫

足許の植木鉢がようわからんが。
 《死の花嫁たち》レオナルド・ビストルフィ


 《プシュケーとクピド》コルネイユ・ヴァン・クレーヴ

 絵の方ではさっそく「ヴュイヤール」があった。《縫い物をするヴュイヤール夫人》

 藤田嗣治の≪坐る女≫もありました。

 藤田嗣治っていえば、こないだ東京国立近代美術館に、楽家初代から当代までの器がズラッと展示されている展覧会にもいったんだけど、その常設展に、フジタの例の「素晴らしき乳白色」の裸婦の大作と、ほぼ同じサイズの《アッツ島玉砕》、《サイパン島同胞臣節を全うす》が並べて展示されてる。
 今までは、戦争画って括りで、他の人の戦争画といっしょに展示されてたんだ。でも、藤田嗣治って括りで並べられると、絵としてのクォリティが圧倒的。思想的背景(とか、おそらくフジタにはない)を度外視して感動した。

 お花見って意味では、川合玉堂の《行く春》も良かった。