「22年目の告白」、「忍びの国」

knockeye2017-07-13

 「22年目の告白」と「忍びの国」を観た。
 「22年目の告白」の方は、すごく面白かったけど、韓国映画のリメイクだそうだから、評価どうこうってことにはならないと思うけど、面白い映画をリメイクして悲惨なことになる場合もあるわけだから、その意味では、これは上出来。
 ただ、仲村トオルのキャスティングはちょっと疑問。いいオトコすぎる。もうちょっとニュートラルなルックスの役者さんの方がハマったかも。
 「忍びの国」の中村義洋監督は基本的に好きな監督で、「ジャージの二人」、「ポテチ」、「ジェネラル・ルージュの凱旋」とかの上質なユーモアは、この人にしか出せない味だと思ってる。
 それから、キャスティングが抜群にうまい。「ジャージの二人」の堺雅人、鮎川誠、水野美紀、「ジェネラル・ルージュの凱旋」の竹内結子阿部寛、「ポテチ」の濱田岳大森南朋。今回も、大野智鈴木亮平コントラストが良い。特に、大野智は、ジャニーズ出の役者では、草なぎ剛と並ぶと思う。
 今回の「忍びの国」は、大野智鈴木亮平のアクションが見もの。クライマックスの決闘シーンは、それだけでも大変だったに違いないが、鈴木亮平のインタビューによると、ミスなしでピタッと決まっても、監督のOKが出なかったそう。それで、わざと微妙にずらしたのだそうだ。
 しかしながら、シナリオは薄っぺら。薄っぺらすぎて、すがすがしいくらい。これは、監督のせいなのか、原作、脚本の和田竜のせいなのかわからないが、その相乗効果だという気がする。
 関西の人には少ないが、笑いのセンスをちょっとレベルの低いものに思う人がいて、せっかくいいセンスをしてるのに台無しにしちゃう人がいる。例えば漫画家のコンタロウなんか、『1、2のアッホ』なんて、伝説のギャグ漫画を描いたのに、「オレはホントはシリアスなんだ」とか、変な悩み方をして、グタグタになった。
 中村義洋監督も、なんかその轍を踏みつつあるように見える。この前の『殿、利息でござる』なんかは、「コメディーじゃないんです」って、スポンサーに徹底的に抵抗したらしい。私に言わせれば、笑いが足らないくらいでしたけどね。
 伊丹十三監督は、映画は価値観の対立が一番面白いっていってたと思う。一方的な価値観の押し付けは、違うと思う。
 でも、この二つの映画は観て損したってことはないです。面白いです。ふたつとも、MovieWalkerの「興行収入ランキング」にも、「見てよかったランキング」にもずっと5位以内に入ってるみたい。