歯医者は選ばなきゃならないって話

knockeye2017-10-25

 一年位前か、キャラメルを噛んでいたら歯のかぶせ物がとれたので、いよいよ歯医者に行かなければなるまいと思ったが、なんせ、残業になるかどうかがその日の午後になるまでわからない状況なので、歯医者の予約がとりにくい。そこで一計を案じて自宅にちかい歯医者ではなく、職場に近い歯医者に通い始めた。そうすれば、お昼休みに歯医者に行って、それでたとえば治療が少し長引いて就業時間にかかったとしても、その分残業すればよいだけだから。
 その判断が間違いだったとは思わないのだけれど、たまたまその歯医者があまり感心しない歯医者だったらしく、いきなり歯を抜かれたはいいが、そのあと、なかなか新しい歯を入れようとせず、抜いたところ以外の歯をいろいろいじくって、半年ぐらい経ってようやくその歯をいれてくれたんだが、それから一か月もたたないうちに、その入れた歯のあたりに激痛が走り、急遽レントゲンで診てもらったら、「骨が溶けてる、いつから痛かったんだ?」みたいなことを言うわけ。
 「いつから」って言ったって、半年間入れずにいて「入れなくていいんですか?」って聞いても「大丈夫、大丈夫」みたいな感じだったものが入れて一か月もたたずにどうにかなってるとは思わないわけ。
 それで「おかしいなぁ、ちょっとかみ合わせが悪いだけなんだけど」とかぶつぶつ言いながら、歯の高さを削って「様子を見て」って話になった。
 ところが、それから一年くらいたって、今度はその同じあたりが痛むだけでなく、こめかみのあたりまで痛みが広がり、鼻水、痰、せきが同時に出だした。今から振り返ってるから、歯が原因だとわかるけれど、最初は風邪かと思ったくらいだったが、風邪の症状にしては、歯が痛い、というより、歯のあたり全体顔の右半分が痛かった。まあ、そのころまでにはうすうすあの歯医者ヤバいぞとは気が付いていたので、今度はその歯医者ではなく、家の近くの歯医者にかけこんだが、「これはうちでは手に負えないから、すぐに総合病院の口腔外科で診てもらえ」ってことになった。
 結果は、歯の根っこが腫れて膿がたまっていて、副鼻腔のあたりまで広がっていて、最悪は手術だということで、とりあえず、前の歯医者の抜いた歯の隣の歯まで抜かなきゃならないってことになり、あとは抗生物質で様子を見ることになった。
 それで、今度は家のそばの歯医者さんに歯を抜いてもらったのだが、こちらはすぐに歯を入れてくれた。その時、前の歯医者のことをいろいろ思い出したが、そもそも歯を入れる時に、歯型をとられた記憶がない。今度の歯医者さんはまず歯型を取って、次に歯を入れて、歯のかみ合わせを調整して、さらに一週間後に、もう一度かみ合わせを調整した。
 正直、自分の歯のかみ合わせがちゃんとしてるかどうかなんて、自分ではわからない。最初の一週間はまだもやっとしている感じだったが、一週間後にかみ合わせを調整してもらうとそれまでの痛みがウソみたいに消えた。もちろん、前の歯医者のダメージが奥深くまで広がっているので、それが治ったかどうかは油断がならないのだけれど、ただ、驚いたのは、たぶん交通事故の後遺症だと思っていた、のどぼとけの右側の腫れまで治ってしまった。
 二週間後にもう一度かみ合わせの調整をすることになっている。前の医者は、歯を入れた後、「これでどうですか?」と聞いてきた。こっちは分からないので「こんなもんですかね?」というと、「わたしもそう思います」って言っておしまいだった。
 最近、歯医者はその辺にあるけれど、ちょっとヤバい医者も交じってるってことに気が付かなかった。
 いい歯医者も悪い歯医者も実名を出すわけにいかない。写真は特に関係ない。サントリー美術館に狩野元信を観に行った(三度目)ら、この複製品が売ってた。写真は東京国立博物館のもので、《葡萄栗鼠文水差》。