根津美術館の紅葉 鏨の華

knockeye2017-11-21

 紅葉の盛りの根津美術館になぜ来たことがなかったのか分かった気がする。海外にまで人気の庭のある根津美術館は、紅葉だけで客が呼べるので、紅葉の頃の展示はけっこう渋めにしているみたい。だから、WEBで展覧会をチェックして、行こか行こまいかと考えていると、つい紅葉の盛りを逃してしまうみたい。この日はたまたま平日に休みが取れたし、雲ひとつない秋晴れだし、これといったあてもなく訪ねてみた。
 「鏨(たがね)の華」てふ、ちょっとダジャレの気配がある、刀装具のコレクション。渋い。超絶技巧などと言われる明治の工芸を育んだ母胎がこの刀装具の技術だった。柴田是真が塗り、加納夏雄が金具を作った拵えなんてのもありました。雪村の呂洞賓を写した小柄など、見応えがあったけれど、庭の紅葉がなければ、確かに来なかっただろう。
 茶道具の展示は、もう歳暮の茶に。十一月は炉開きの月なのだけれど、この時期はもう年の瀬の気配なんだろう。