諏訪敦彦って人が監督したフランス映画「ライオンは今夜死ぬ」を観たけど、主演男優のジャン=ピエール・レオがドクターストップ寸前に見えた。
昔憧れた名優に自分の映画に出てもらいたいとしても、その結果、これで良かったのかどうかはちょっとわからない。実写版「攻殻機動隊」で、北野武だけ日本語を話してる違和感にどこか似てる。
「ミックス。」って、瑛太と新垣結衣の映画。これは、スポ根エンターテイメントの王道で楽しめた。
脇を固める、真木よう子、小日向文世、広末涼子、田中美佐子、遠藤憲一、蒼井優って多彩な面々も上手く配役されていたし、敵役の瀬戸康史、永野芽郁も、憎めない感じで、少年漫画っぽい、トンデモな悪役じゃなくリアリティがあった。
欲を言えば、瑛太と元奥さんの関係がさらっと描かれすぎていたかもしれない。そこだけちょっと都合が良すぎた気がした。気になったのはそれくらい。
スポーツ選手がよく「ファンの皆さんのおかげ」みたいな発言をするたびに、「またまた」と思ってきたのだけれど、この歳になってよくよく考えると、人間確かに、自分のためだけにはなかなか頑張れない。ライバルがいたり、今回のオリンピックを見ていてもそうだけど、韓国の選手の日本人には負けられないって思いの強さとか、良くも悪くも、自分が属している社会との絆の強さは、モチベーションになるのは確かなんだろう。
そういう強い思いを抱ける何かがあるのは羨ましいと思った。
「ミックス。」の主人公の新垣結衣は、子どものころ、母親からスパルタ教育された卓球がイヤで、フツーの女の子に戻っていた。ある意味、それは、今のわたしたちほとんどと同じ、背負うもののない、気楽な生き方。恋愛も結婚も、もっと言えば、生きることそのものが、めんどくさいっていう、今って時代を覆っている空気でもあるんだけど、そういう生き方で、そこに何かがあるのかっていう、けっこうストレートな問いかけがちゃんとできている映画だったと思う。
何かを強く信じられない時代の寂しさに、ちょっと反語を投げかけてみたって意味で、時代を映し出していると思った。