『希望の灯り』

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希望の灯り
 
 『僕はイエス様が嫌い』を観た前の日に、たまたまこの『希望の灯り』を観た。封切りは、4月なので、もうそろそろ手じまいぎみになってるかもしれない。
 ところが、きのう発売の週刊文春宮藤官九郎のコラムを読んでいたら、宮藤官九郎もちょうどこの映画を観たと書いていた。だからどうってことではないのだが、何たる偶然、といったこと。しかも、この映画を選んだ理由も全く同じで、上のキービジュアルに惹かれてってことだった。
 いい写真ですよね。こういう写真をポスターにする人の映画なら観る価値があると思わせる。
 ベルリンの壁崩壊後の旧東ドイツ、スーパーマーケットで働く人たちの日常を描いている。ただそれだけ。
 冷戦後の東ドイツの普通の人たちに目を向けるってことがすでにすばらしい。そして、そこにあれこれ盛り込まず、ほんとにただ普通の人を描いた歩調の確かさがまたすばらしい。
 アキ・カウリスマキを思わせるっていう評も読んだ。そういえば、宮藤官九郎アキ・カウリスマキが好きだそうだ。わたしは小津安二郎と比べたくなる。
 考えてみれば、東ドイツは、戦争に負けて、冷戦にも負けた。そんな二度の敗北のあとに訪れた沈黙と生活が、画面ににじみ出ている気がする。