なんでこんなことしちゃったんだろう?

 もうみんな忘れてるかもだけれども、去年2019年の6月21日にも、米軍がイランに攻撃を仕掛ける可能性があった。イランが米軍の無人偵察機を撃墜したことに対する報復措置としての軍事攻撃を承認していたトランプ大統領だったが、「イランで何人死ぬ可能性があるのか」と聞いた答えが「およそ150人」だったので、「報復措置として不釣合いだ」として、攻撃の10分前に中止を決めた。
 このときは「ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)やポンペオ国務長官、ハスペル米中央情報局(CIA)長官らが報復攻撃に賛成した」という。
 このときイランが交渉のテーブルについてくれていればと思わぬではないが、そもそも核軍縮合意を勝手に離脱して、経済制裁を各国に強要したのは、トランプ大統領自身にちがいないので、勝手に決めた攻撃を、勝手に中止したと言われても、イラン側としては、訳が分からなかったとしても責められない。

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 その一週間前、6月13日には、トランプ大統領の親書を携えた安倍晋三首相がイランを訪問したその日に、日本国籍のタンカーが何者かに襲われる事件があった。これが誰の仕業なのかはいまだにわかっていない。
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 しかし、イランの仕業だとすればかなり奇妙なタイミングではある。もっとも、安倍首相がトランプ大統領の親書を携えていたことを考えると、トランプ大統領の意向とは考えられない。
 いずれにせよ、その一週間後には、また別件の報復攻撃を、上記の三閣僚がけしかけた訳だが、トランプ大統領はこれを回避することができた。

 そのトランプ大統領が、今回、ソレイマニ暗殺にゴーサインを出してしまったのは何故かはわからないが、ともかく、アメリカには、イランと戦争したくてしようがない一群の人たちがいるらしく見える。
 イランの報復攻撃を受けて、トランプ大統領は「イランは抑制しているようだ。全ての当事者と世界にとって良いことだ」と演説したそうだ。
 いやいや、攻撃されてますやん?。この人の発言はオルタナティブ・ファクトに満ちあふれてますね。
 CNNによると「トランプ氏は緊張緩和を模索する狙いとみられるが、イランに行動の余地は与えず、実質的に「最大限の圧力」政策を維持。イランに追加制裁を科す方針を示したほか、米同盟国に対し核合意から離脱して新協定の交渉を進めるよう求めた。」
 要するに、同盟国についてきてほしいのが本音のようだ。裏を返せば、今回のソレイマニ暗殺は、さすがのアメリカも、同盟国に愛想を尽かされるのではないかと不安に思っているということだろう。しかし、「はいそうですか」と、参加各国が核合意から離脱するとは到底思えない。イラン抜きで新協定を協議しても意味がないし。
 もし、アメリカの主張するように、ソレイマニがテロリストであるなら、逮捕して裁判にかけるのが本筋だろう。勝手に殺していいわけがない。この暗殺について国連で非難決議が動議されたら、もしアメリカに拒否権がなければ、満場一致で採択されるレベルだと思う。
 今回の件で、アメリカは国際社会に借りを作ったように見える。発言力の低下が目に見える形で出てくるかもしれない。

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