『パラサイト』アカデミー賞4冠について宮藤官九郎と町山智浩が

 『パラサイト』が米アカデミー賞、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門でオスカーを獲得した。
 これについて、宮藤官九郎のラジオ「ACTION」の2月10日の放送で町山智浩と北丸雄二を交えて話し合っていた。
 韓国映画と日本映画をめぐる環境のちがいについて、金大中が、韓国の国内マーケットだけでは娯楽産業が成立しないので、最初から国際マーケットを見据えて、国費でハリウッドに人材を派遣して育てた。それで作品の品質が底上げされた。1997年ごろからの取り組みが今にして成果を上げている。
 加えて、国際マーケットをターゲットにしているので、製作費にカネがかけられる。『パラサイト』の製作費は12億円だそうだ。町山智浩が比較としてあげていた『キングダム』の製作費が10億円、これが日本映画の限界というのは、マーケットを拡大していく努力をしてきていない業界の問題なんじゃないかと思う。例えば、海外に日本資本の映画館を作るくらいなことはしても良さそうなものだ。
 半地下の住居や都市洪水は、韓国の現実なのだそうだ。半地下の住居は、北朝鮮との緊張がもっと切実だった頃に作られていた防空壕を改造して住居として貸し出しているもので、トイレが一段高いところにあるのは、下水設備が本来の一階用のものだからだそうだ。 
 町山智浩が、格差が広がったのは、非正規雇用のせいだと言っていた。その通りだと思う。わたしも昔いわゆる派遣社員だったが、その頃の感覚としては、非正規雇用というのは事実上違法で、そういう働き方は、人生を捨ててる人間がすることだった。
 終身雇用は日本人を社畜化したが、非正規雇用は日本人を家畜化した。文字通り食い物にしている。