志村けんの悲報をめぐる

 志村けんが新型コロナで亡くなった。感染のニュースを聞いたときは、品川庄司の庄司がアニサキス8匹に寄生されたより深刻な話とは思ってもみなかった。
 死の可能性についてはこれっぽっちも思いつかなかった。そんな死に方とはもっとも遠い人のように思っていた。なので、一瞬、不当な扱いを受けたような思いが先に来た。たぶんこの死については、中島らもが酔っ払って階段から落ちて死んだよりも記憶に残らないはずだ。記憶されるのは芸の方だと思う。
 ラジオでは、岡村隆史おぎやはぎ、それに、霜降り明星せいやの話が面白かった。
 岡村隆史志村けんの大ファンなのは観ていたら分かる。笑いの素養のほとんどは志村けんだといっていた。視聴者としてみているかぎり、志村けん岡村隆史を評価していたとは思えなかったので、むしろ意外なほどだが、プライベートな交流はあったそうで、大勢が苦手なせいもあり、よくふたりで飲んだ。芸のことで褒められたことはなかったが、思い出されるのは、酒が飲めるようになったと喜んでくれたこと。まだ死の実感がわかないと言っていた。
 霜降り明星というコンビの面白いのは、せいやが異常なほど古いことに詳しい。ドリフターズ加入まえに志村けんが組んでいた漫才コンビマックボンボンまで知っている。対して、粗品がこれはその対極的にテレビについて何も知らない。厳しい家だったらしくて、あまりテレビを見せてもらえなかったみたい。クレヨンしんちゃんさえ「おしりが出るから」と見せてもらえなかった。ラッシャー板前を知らないってことが発覚したことがあった。
 せいやの尊敬する芸人のトップが志村けん、続いて岡村隆史、第3位が今田耕司だそうだ。「霜降り明星志村けんに間に合わなかった」と嘆いていた。一度だけ挨拶をしたことがあったそうだが、せいや志村けんに聞いてみたかったことは、荒井注の代わりにドリフターズに加入した後、しばらく人気が出なかった、その間のことを聞きたかったというのがせいやらしい。
 おぎやはぎは、芸のスタイルが志村けんとは遠い位置にいただろうが、それだけに評が的確で、訃報を伝えるニュースの手話で、「志村けん」を表す手話が、アイーンのポーズだったのに感動していた。
 新コロナウィルスは、いよいよ日本でも感染者が増え始めているが、今のところ、死者が少ないについて、BCG接種が関係しているという仮説があり、各国の研究機関が検討を始めるらしい。ただ、これから事態が急展開しないともかぎらない。志村けんさんは、ギリギリBCG接種を受けていた世代だそうだが、肺に既往症があった。
 世界の状況を見ていると、来年の五輪も危ういのかもしれない。一ヶ所に集まる必要はない時代になるかもしれない。テレワークが常識的になり、5Gの普及が早まるのかもしれない。
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