映画館によってはもう100%客席を埋めるようである。市松模様に前後左右が空いていたのは観客としては実に快適だったのだけれども。
新宿武蔵野館は、改装されてからスクリーンが見にくくなった。床の傾斜が緩くなったのか、前の席の頭でちょうど字幕が見えない。私は男性だから少し伸び上がればなんとかなるのだけれど、後ろの人はそうとう迷惑なのはひしひしわかる。それで脚が遠のいていたのだけれど、このジャン=ポール・ベルモンド傑作選はどうしても観たかったので。
『恐怖に襲われた街』と『オー!』を観た。
『恐怖に襲われた街』は、ジャン=ポール・ベルモンドの体を張ったアクションがみどころ。江戸木純の「生」前口上によると、まずスタントマンが型を作ってそれをベルモンドが本番でやるってやり方だったそうだ。ベルモンド自身の制作だったからできたっていう。いまでいうとトム・クルーズとかのやり方だな。
でも、個人的には『オー!』の方がオススメ。元レーサーで銀行強盗の下っ端っていう「悪ガキ」ぶりが魅力的。ヒロインのジョアンナ・シムカスも綺麗。
両方ともに言えることは、パリの街、クルマ、広告、地下鉄が魅力的。サヴィニャックのポスターとか。シトロエンのクルマ。
それでも1968年の『オー!』の方が1975年の『恐怖に襲われた街』よりオシャレに見える。印象を正確に書くと、よりオシャレに、というより、よりフランスっぽく見える。ハマキ型のレーシングカーですらフランスっぽく見える。1975年の『恐怖に襲われた街』だと、バイクはカワサキだし。男の穿いているパンツもフレアっぽい。男がフレア(裾が広がってる)パンツを穿く時代はさすがにもう来ないかもな。
『オー!』にはアラン・ドロンがチラッと出てたらしい。空港の出口でクルマに轢かれかけだ男がいたのは気づいたけど、一瞬すぎてわからなかった。
その当時、日本ではアラン・ドロンは美男子の代名詞になるほど圧倒的に人気だったけど、今になってジャン=ポール・ベルモンドの粋な感じがわかるな。
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