『ザ・メニュー』!!(勢いあまってネタバレかも)

 昨日は早起きしたので箱根に出かけたのだけれど、そんなことより『ザ・メニュー』。ぶっ飛んでしまって、観終わった瞬間に誰かに話さずにいられない。
 遅い回だったので入りは良くなかったが、スクリーンを出るや否や、前を歩いてた女の子2人が「最後のあの〇〇〇〇ーガー!」と興奮気味に話し合っていた。よくあそこに着地したと思う。

 前回に続いて、また観たけど書かなかった映画に一言するが、『ボイリング・ポイント』ってイギリス映画がありました。ワンカットはイギリス人の悪癖なのか『1917 命をかけた伝令』ってのも全編ワンカットていうウリだった。やっぱり演劇の伝統なんだろうね、ワンカットでやりたいって衝動が定期的に湧き出るんでしょう。やってる側はスリリングかもしれないけど観てる側はそうでもない。『ボイリング・ポイント』は、レストランが舞台なんだから、ワンカットでやるなら、「料理の鉄人」みたいな緊迫感を狙ってるのかなと思うじゃないですか?。じゃなくて、オーナーシェフが借金とヤク中でダメになるっつう、自然主義小説みたいな話。ワンカットでやる意味ある?。
 箱根の帰りにちょっと映画を見ようと思って『秘密の森のその向こう』じゃなく『ザ・メニュー』を選んだのは、潜在的に『ボイリング・ポイント』の消化不良が残ってたからかもな。
 それともうひとつは離小島の超有名レストランって設定。『NOMA東京、世界一のレストランが日本にやってきた』を思い出す。NOMAは離小島ではないけど、コペンハーゲンの海沿いだから。あのオーナーのレネ・レゼピって人は、イギリスの(ここでもまた)レストラン誌で「世界のベストレストラン50」に4回も一位に選ばれた店を、一年休業して、東京に出店するために日本全国を巡って食材を探した。
 で、できた料理が最後に出てくるんだけど、これが何というか。とにかく自分がグルメでないことを思い知らされた。グルメも極めると狂気の域に入りますね。 
 今回の『ザ・メニュー』のレストランはNOMA、でないかもしれないけど、そのあたりの超高級レストランをモデルにしてるのは間違いなさそう。
 そういう滅多に予約が取れない店に、ある女の子が招待されるわけ。グルメオタクの青年が直前に彼女と別れたので、たまたま彼女がご指名を受けたにすぎず、はっきりと彼女だけ浮いてる。
 この子を演じるのがアニャ・テイラー=ジョイ。『ラストナイト・イン・ソーホー』に主演した、あの、美人か、じゃないかよくわからない印象的な風貌の。『ラストナイト・イン・ソーホー』も宇多丸さんが絶賛したクライム・スリラーだったんだけど、個人的には『ザ・メニュー』の方が圧倒的にはるかに超えてる。この分野に(どの分野?)なくてはならない女優さんになりそう。
 とにかくシナリオがすごい。『カメラを止めるな!』とか『ゴーン・ガール』とか、「そっち?」っていう系のシナリオだけど、それよりはるかに現実離れしてそうなストーリーをリアルに描ききった力業もすごいし、それにきれいにオチをつけたラストもすごい。脚本のセス・ライスとウィル・トレーシーに大拍手。マシュマロとチョコレートのとこ、笑いを止められなかった。
 なんつうんすかね、痛快、集団無理心中コメディーってったらネタバレになる?。そういうことでもなく、わかってて観ても超面白いと思いますよ。この分野では間違いなく今年一番ですね。どの分野なのか悩むけれど。


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