奇しくも『ザ・メニュー』に続いて「伝説のシェフ」の物語。この映画はマイケル・サルノスキという人の長編映画監督デビュー作だそうだ。
同じニコラス・ケイジ主演でも園子温のハリウッドデビュー作『プリズナー・オブ・ゴーストランド』の悲惨さと比べると雲泥の差だ。ああいうひどい映画を見せられた後にスキャンダルの報に触れるとさもありなんと思ってしまう。事実は知らないけれども。
『ザ・メニュー』と違って、こちらの「伝説のシェフ」は、隠遁の志をもってオレゴンの森の中に隠棲している。一匹のトリュフ豚にトリュフを探させて生計を立てている。
ところが、ある日その豚が盗まれる。その豚を取り返すべく、伝説のシェフとしてかつて暮らしたポートランドの街に帰っていく。
となると、何かしら西部劇的な展開を予想してしまうけれども、そこは、そういう「ハイハイその展開ね」みたいなことでは、rotten tomatoesで支持率97%という高評価にはならない。驚くほど自然に抑制の効いた展開になっていく。
その意味では、『プリズナー・オブ・ゴーストランド』とか 『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』とか、ニコラス・ケイジを出しときゃサブカル好きが寄ってくるだろ的な発想の映画も、フリとしての存在意義はあるのかもしれません。
なんか映画のキャッチコピーも「リベンジ」とか「スリラー」とかになってるのだけれど、そういうフリは確かにアリなのかもしれないけれど、それはちょっとニコラス・ケイジをなめすぎなのではないか。存在感できっちりミスリードしますしね。
ある意味、『ザ・メニュー』と逆の裏切りなのがおもしろい。この2つを立て続けに観たのもよかったかも。
こういうグルメ映画ってジャンルも確かに脈々とあるのかも。ざっと思い出すと、古くは『タンポポ』とか。個人的には、ジョン・ファブローが監督、主演した『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』が好きなのだけれど、話題になったかどうかわからない。
ジョン・ファブローって人は、スパイダーマンにも出るし、『ジャングルブック』なんてアニメも監督するし、『アイアンマン』の監督もこの人だし、謎の才能ですね。
グルメ映画でいうと『ジュリー&ジュリア』も好きでした。ノーラ・エフロン監督、エイミー・アダムス、メリル・ストリープのダブル主演っていう。