『エルピス ー希望、あるいは災い』ネタバレ、『シャドウプレイ(完全版)』

 Netflixで『エルピス』が配信され始めたので、週末で集中して観た。
 渡辺あやの脚本がすばらしい。テレビ局の裏側が、女性目線でけっこうリアルに描かれているのではないかと思わせる。「おじさんたちのプライドは地雷」とか。
 脚本として優れているだけに、それが反映しているリアルの限界が透けて見える。ラストの斎藤(鈴木亮平)との対決なんて、斎藤の言ってることが正論に聞こえるんだとしたら、それが日本の限界なんだろうと思った。
 脚本としてはあれで間違ってない。というか、あのひねりがむしろ緊迫感をうんでるわけだが、ドラマを離れてリアルに考えると、議員にレイプされた女性を取り引き材料にしてるわけで、これは相当ひどい決断な訳である。 
 それは、ドラマの限界ではなくリアルの方の限界だと思えた。というのも、その前に『シャドウプレイ(完全版)』という中国の映画を観たからで、「完全版」というからには、不完全な形で中国では上映された訳だが、いったいこのどこを切られたんだろうと首をかしげる感じだった。実話ベースらしいので、モデルにされた誰かの意向が働いたのかもしれない。
 つまり、頭の中でごくごく自然に『SHE SAID』、『エルピス』、『シャドウプレイ』が並べて比較されちゃうわけで、ドラマとしての出来不出来ではなく、現実にどれくらい切り込めているかを見ると、『SHE SAID』の圧勝。『シャドウプレイ』になると、遠くの方から石を投げてるくらいの感じ。『エルピス』はその中間の、それでもやや『SHE SAID』寄りかなと私には思えたが、それは人によっては甘いというかも。
 ただ、『SHE SAID』はニューヨークタイムズの調査報道を描いたのに対して、『エルピス』は、調査報道に及び腰な日本のテレビを描いたという意味ではすごくリアルだったと言えるだろう。暗部に切り込んではいないが、切り込めない日本の報道はバッサリ斬っている。
 日本にまともな報道はありませんというドラマなわけで、喜んでる場合でもない。
 以下、佐野プロデューサーのインタビュー。

joshi-spa.jp