何度かチャンスがあったのに見逃していた《伝 源頼朝像》をやっと見ることができた。
似せるってことに、ここまで志向を特化した肖像画は日本では珍しいと思う。しかも、縦143.0cm 横112.8cmの大きさも日本の肖像画としては異例だと思う。
顔の写実性に対して首から下の意匠の抽象性のコントラスト。黒の色のわずかな変化でリズムを刻むパターンの洗練。この後、なぜこのような絵画があまり描かれなくなったのか不思議。こういう写実性だけでも、次に現れるのは渡辺崋山まで待たなければならないのではないか。だとすると、この後およそ500年、日本人は肖像に興味を持たなかったってことになるか。
鈴木春信の三美人は顔はほぼ同じだし、喜多川歌麿の三美人にしてもあの絵から実在の人物を同定するのは難しそう。というか、今の今までこの2人の描いた三美人が違う人だとは知らなかった。
漫画家が実在の人物を描く感覚と近いのかもしれない。漫画家にとっては、その人物に似せるよりもその人物を漫画化する技術の高さが絵のうまさと言われるだろう。そういえば、大和絵の松岡映丘が水谷八重子を描いた時、「似すぎてる」と「酷評」されたという話を聞いた時は「はあ?」と思ったけど、同じ感覚なのかも。
この展覧会で「灌頂」という言葉に出会した。「かんじょう」と読んで、つまりは頭に水を注ぐことなんだけど、私がまだ富山に住んでいた頃、立山の芦峅寺で「布橋灌頂会」ってのが久々に復活したって話題になっていた。たぶん、観光の目玉になるかなって感じだった。
空海の灌頂は、最澄もそれを受けたそうである。多分に儀式的だが、そういう儀式性を超えて思想の内容のある宗教には、為政者の警戒心を逆撫でする何かがあるらしい。
時代の転換期には古い宗教に対するカウンターとして新しい宗教が生まれる。しかし時代が降ると良くも悪くもそんな宗教もある社会性を帯びる。そして結局は社会の一要素として属する社会に取り込まれていく。宗教の側から言えば、受け入れられていく。
出口治明が書いていたことだが、中国の支配層は、儒教は知的エリートを、仏教は庶民を、それぞれ支配するツールとして使いこなしていたとか。その割には彼の国の王朝は栄枯盛衰が激しい気がするが。
東京国立博物館に行く時は、常設展の方が楽しみだったりする。今回は涼しげな夏の着物が多数。
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この人の父は安本亀八の弟子だったそうだ。
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生き人形が大ブームだったのは幕末から明治にかけての時期で写真なども残っている。つまり、そんな遠い昔ってわけじゃないのに、残存する作品は異常なほど少ない。
信仰の対象とはいえ
が比較的良い保存状態で残っているのに、いくらなんでも幕末、明治のものがここまで残ってないのはあまりに冷遇されすぎてる。
これもやはり似ているせいなのかとも思える。この二代 平田郷陽の人形も、とてもリアルだけれど、大きさは博多人形を少し大きくした程度で、もはや生き人形とはいえない。
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国芳の女はまさに江戸っ子好みな感じがします。侠風で伝法で固肥り。
個人的には国芳のイメージは河治和香の小説に負う部分が大きいです。
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国芳を人気絵師に押し上げた水滸伝シリーズ。
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この広重の花火、モダンですね。江戸時代の花火は今よりずっと地味だったそうで、一発、一発の間のインターバルがかなり長かった。今より夜がずっと暗いですから、花火と花火の間は真っ暗闇。それが味わいだったらしいですね。
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こういう名品がしれっと置いてます。
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狩野探幽は、なんか乙に構えた感じが好きじゃない場合があるのですけど、これはそんな感じがしなくて好き。
でもやっぱり
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の方が味が濃くて好きです。
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「周文は、足利将軍家に仕えた相国寺の画僧です。その真筆を確定するのは難しく、長らく「幻の大画家」とも呼ばれてきました。本作も周文筆と伝えられますが、確証はありません。岩の描き方は、周文の弟子である岳翁の筆法に似ています。」
だそうです。
そしてこれが
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そしていつものように刀は動画で。相州貞宗(名物 亀甲貞宗)。
左安吉。
昔ははてなのフォトライフにも動画があげられたのに今はできなくなったのでYouTubeに上げてるだけなのですが、時々、海外の人からコメントをもらいます。
「これ売り物ですか?」って聞かれたので「国宝です」って真面目に答えたんですが、もしかしたらジョークだったのかも。この円安時代で国宝でも買えそうってことなのかな。