麻生下ろし

民主党は今度の選挙でまた負けるかもしれない。
新聞を見ると菅直人鳩山由紀夫ともに「麻生太郎は総理を辞めるべきではない」という発言をしている。まるで麻生太郎以外には勝つ自信がないといっているように聞こえる。
鳩山由紀夫は、民主党が政権をとったら西川日本郵政社長を解任するというようなことも口走ったらしい。それを言ったら、後で困ることになるかしれない。あいかわらず戦術が拙いなぁ。だいたい政権をとるかどうかも分からないうちに、私企業の社長のポストについてあれこれ言うのは、重箱の隅の米粒に写経するようなものだ。
ダイヤモンドonLineの「総選挙後に望むべき政権は?」というアンケートの投票結果を見ると、「民主党中心の政権」が73%、「自民党中心の政権」が17%、これだけ圧倒的な差があるともはや麻生太郎に打つ手はない。
すでに歴史的評価の定まった感のある麻生首相だが、今度の選挙の前に電撃辞任する可能性はあるだろうか。
もともと10パーセント強にすぎなかった麻生内閣の支持率を、「西松献金事件」で20%強に押し上げた人たちが、鳩山邦夫更迭でまた10%強に引き下げただけのようだ。有権者の大部分は、この間の茶番を冷ややかに見ていたと思っていい。
有権者全体は案外ちゃんとした判断をし続けていて、官僚主導から政治主導に変えていかなければならないことはわかっていると思う。
マスコミは自分たちが大衆を把握しているつもりでいて、実は自分たちの見たい大衆しか見ていない。
オウム真理教坂本堤弁護士のビデオを見せていたTBSが、オウム事件のあと、旧来のワイドショーをやめざるえなくなって、窮余の一策としてはじめた「はなまるマーケット」が大当たりしたという例がある。
それまでテレビは、パパラッチ的なワイドショーを続ける理由として、「視聴者が芸能人のスキャンダルを欲している」とうそぷいていたのだけれど、常識で考えれば分かるとおり、それは、マスコミ業界の共同幻想だったにすぎない。誰かと誰かがどこかでセックスしたというような話題を朝から見たがるバカを惰性で追いかけている間に、まともな視聴者はテレビ離れしていた。
今、テレビだけが鳩山邦夫を正義の味方に祭り上げているが、業界の共同幻想の呪縛は案外強く、(何しろ自分たちこそプロのなかのプロだと思っているから)自分たちが周りから浮いてしまっていることに気がついていない。「西松献金事件」の後も、結局民主党の支持率は下がらなかったし、そもそも、小泉政権当時、マスコミは終始一貫して小泉批判を続けたが、ついに支持率は下がらなかった。
テレビはそろそろ寿命を迎えつつあるかしれない。地デジになったらテレビを観るのを辞めようかと思っている人も意外に多いかもしれない。
ニコニコ動画とかYouTubeとかが有効な戦略をもちえたら、そのときこそ「不可逆的に」テレビはインターネットに敗れ去るかもしれない。
「赫い髪の女」を観るために渋谷駅をおりたのは、「インスタント沼」以来だったが、あの時に少し触れたNHKに対する抗議デモがまだ続いていたので驚いた。続いていたどころか、むしろ大きくなっている。三週間も抗議活動が続いていたことになる。渋谷駅前は騒然としている。にもかかわらず、テレビも新聞もこれについて一切報道していない。
公共放送とは、政府のプロパガンダではないはずである。NHKにジャーナリズムは機能しているか、それとも依然として大本営発表か。すでに訊くまでもないか。公共放送が報道の自由を守れないならテレビは民放だけでいい。NHKの存在自体が税金の無駄だということになるだろう。